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平成26年(2014年)3月5日産経新聞

「政左経右」鮮明に
全人代きょう開幕 国有企業改革が焦点

【北東=河崎真澄】5日開幕する中国の全国人民代表大会(全人代H国会)の冒頭で、昨年春に就任した李克強首相による初の「政府活動報告」が行われる。そこで習近平政権は集権体制の強化など"左派"ともいえる政治引き締め策の一方で、国有企業の改革断行という"右派"の経済政策を同時に鮮明にする。

政治関係の冷え込みに対して、経済交流は熱かった時期の日中関係が「政冷経熱」と呼ばれたが、中国の経済学者はこれを習・李体制の方向性に当てはめ「政左経右」と呼び始めた。共産党支配体制の維持と習政権の権力基盤強化には、経済改革が欠かせないとの認識が強まったもようだ。

党や軍政府に加え、改革の司令塔「全面改革指導小組」でも習氏がトップの組長に就任しているが、その主眼は、既得権益層など抵抗勢力の残る国有企業体制改革にある。

全人代では、石油や鉄鋼など、独占体制にある国有企業への民間資本の導入や製品の統制価格をなくす抜本策を明示する。最高指導部元メンバーで汚職の疑いで調査を受けているとされる周永康氏は、石油業界の権益を握る"石油閥"のトップだった。

「改革」はその権益構造にメスを入れる権力闘争の武器ともなる。その意味で、「習政権の政治が左を、経済が右を向いても矛盾はない」(北京の経済学者)といえる。

政府活動報告で注目される経済成長率の政府目標は昨年と同じ7・5%に据え置く見通し。一方、31ある省レベルの地方政府のうち23までは、すでに地元の目標を前年に比べ平均1ポイント前後引き下げている。量的拡大を競う時代から、成長の質を問う路線が強まる。

だが、30兆元(約500兆円)以上とみられる「影の銀行(シャドーバンキング)」問題では、地方債務の処理や社会不安の懸念など
難題が山積している。




「中国脅威論を宣伝」日本批判開幕前会見
【北京[=山本秀也】中国の全人代が北京の人民大会堂で5日開幕するのを前に、博螢大会報道官が4日記者会見し、13日までの会期中、李克強首相による初の政府活動報告など7項目の議案を審議することを明らかにした。

会見では、胡錦濤前政権中に慣例化していた国防費の増加率(当初予算べース)の事前公表が、習近平政権に移行した前年大会に続き見送られた。博螢氏は、軍備増強に関する質問に対し、国力と軍事力のバランスを求める考えを示しつつ、「中国の国防力は防御的だ」と発言。前年実績比10・7%増だった13年予算に続き、一定の増加を維持することを示唆した。

さらに博螢氏は「いくつかの隣国が、中国との争いを理由に中国脅威論を宣伝している」として、名指しは避けながらも日本、フィリピンを非難。「挑発を図る国家」が地域の秩序を破壊する場合には、中国が「有効な対応」により「自国の領土主権と地域の秩序、平和を守る」と明言した。

アジア回帰戦略を掲げる米国については、「米国は中国を抑え付ける戦略はないと、公開の場で繰り返している」と語り、アジア
での米中協力を促した。