世界に胆力を示す時 歴史の復讐


在日外国人と語る「この国の行方」
「日本人は世界見ていない」
情報源:産経新聞H23.1.1


 
平成22年は高齢者の不明問題や児童虐待など「家族観」が間われる1年でもあった。絆の崩壊が叫ばれる中で、新年はどのような年になるのか。東京都の石原慎太郎知事は日本で長く暮らす外国人と「この国の行方」をテーマに対談し、数々の疑間に答えた。出席者は米国籍で翻訳業、川嶋ロイスさん(65)▽中国出身で東京都足立区外国人生活相談員、柳啓華さん(59)▽韓キムクンヒ国籍で韓国広場社長、金根煕さん(54)だ。(進行・社会部編集委員石元悠生)



一 昨年は高齢者の所在が分からなくなる事態が相次ぎました

川嶋
: 「信じがたいです。役所の記録の管理が悪いのではありませんか」

知事:「いや、家族の間題です。おじいちゃんが30年前に死んでいるのに年金をもらうためにお父さん、孫がそれを隠して、ミイラになるまで置いておいた。私は平和の毒といっています。日本人は緊張感なしに生きてきて、なんでもアメリカに頼って自分で平和を守る努力をしてきませんでした。家族愛ではなしに、日本は我欲ですね。物が欲しい、お金が欲しい、それと性欲です。情けなくなりました」

ー: 日本の道徳教育に問題はありませんか

川嶋: 「教育全体では難しい。英語教育では英語の先生が英語を話せない。分からないのにどうやって教えるのか疑問を持ちます。日本人は英語にこだわり過ぎで、他の外国語も教えるべきだと思います」

知事:「英語はとても良い言葉だと思います。あんないい加減な文法はありません(笑)。変な英語でも、英語の形で話していると英語をしゃべる人は一生懸命聞きます。他の外国語はロシア語なんて単語一つとってもすごく長く難しい。英語はそういう点で誰でも勝手にしゃべれる。良い言葉だと思います」

: 「日本の義務教育は中国の教育制度と違って留年がなくエスカレーター式で上がっていく。そのまま学年が上がり、子供が勉強する気持ちが減っているのではありませんか」

知事: 「それは日本人の悪いところで横並びっていいます。みんなと同じだと安心するけど、一人だけ進んでいくとやきもち焼かれたり、足引っぱられたりするのです。だから小学校で50m、100m競走でも最後はみんなで止まってゴールインするようなことがあります。そんなばかな体育ってありますか」

ー 最近の日本の若者をどう思いますか

:「 若い女の子が歌っていたときに日本語かな韓国語かなと思ってみたら、台湾だった。形とか感性とかはほぼ一緒で、フィーリングもボーダーレス。国というボーダーよりもジェネレーションギャップが逆に大きくなりつつある」

知事: 「それはありますね。私も小説家ですが、自分が世の中に出たときの小説と今の小説は全然違ってます。例えば、村上春樹君の書く物は分からない。やっぱり今の時代、あれがうけるのは世界全体が非常に悪い意味でペシミスティック(悲観的)になっているからでしょうね。意欲がわいてこないような世の中になりましたが、日本をよく分かっている外国の人として、日本人のどこが物足りませんか」

: 「建前でつきあったり、話をしているのにそれが評価される。本音の話をして競争するというものが足りないと思います。

知事: 「私なんか本音しか言わないから嫌われますよ。日本人は自分のことを自分で表現しません。黙っているのが美徳だったり、美しいマナーだと思ってます。例えば、すしを世界中に広めたのはアメリカ人ですよ。ですが、アメリカのすしは本当のすしじゃなく、似て非なるものです。日本人は自分たちの良いところや外国人と違うところを説明できない。

川嶋:「知事のおっしゃる通り。アメリカのすしはすしではありません。しかし、今の日本のすしもすしではありません。ツナマヨとか、のり巻きとか・・・・。

知事: 「東京でもう少しここはこうしたらいいのにと思うことを教えてください」

: 「仕事をなくした方が多いので、もっといろいろな方に仕事があるようにして欲しい。日本人は、仕事をしないで政府を頼る人が多いので、そういう人が頑張って仕事ができたら国の負担も減る」

知事:「東京には大きくないが優秀な会社で、給料も大きな会社ぐらい払っているところがたくさんあります。ところが、日本人は就職するなら大きな会社、有名な会社と思うから、そいうところには行きたがらないのです。たくさん雇用のチャンスがあるのに。それから、就職を世話するハローワークは国が「一律にやっています。現場が分からない国にやらせたらダメなんです。威張っていてね。日本で一番くだらないのは国の役人ですよ」

ー 最近の日本の政治ニュースを見て感じることはありますか

: 「日本はグローバル政策をもっときちっとしないといけない」

知事: 「耳が痛いご指摘です。日本人は、これだけ情報化時代になっても世界が見えないし、世界を見ようとしません」

:「私は、悲観的に見ることはないと思います。日本の持っている技術とか、考え方というものを観点を変えれば、すばらしいものがたくさんあります」

知事: 「私もあると思います。日本人はすごくいいものを持っていながら、特に国の政治はそれを外国にむかってデモンストレートする、そういう努力をしません。この間、韓国の大統領がUAEに原子力発電所を売った。あれは見事なことだと思います。

 実は東芝と組んでやっていることなんで、そういう点では日本と韓国の関係はものすごく大事だと思います。だけど、やっぱり、ちょっと抵抗あると思うけど、日本と韓国が一緒になって核兵器を持たなくてはダメ。それが一番いい。アメリカも助かりますよ」

ー 石原知事への要望は

:「私は知事のことを右翼的な方だと評判で聞いていました」

知事: 「だって僕、右翼ですよ」

: 「ですが、お会いして普通の常識を持っている方だなと思います」

知事: 「それは日本では普通のこと言ってにされるんですよ。いろいろおもしろかった。ありがとうございました」