はじめなのに 懐かしい 桃源郷 中国雲南省・シャングリ・ラ シャングリラそのU |
八月十五日付けの企画「平成十四年夏」で中国・雲南省の奥地シャングリ・ラを紹介したところ、このページにも載せよという指示が・・・。またまた素人写真をお目にかけ恐縮だが、考えてみれば”探訪”のタイトルにはふさわしいかもしれない。日本人もそう訪れていない”秘境”だからである。『失われた地平線』(一九三三年)の英国作家ジェームズ・ヒルトンといっても、今や忘れられた存在だろう。『チップス先生さようなら』の作者といったほうがわかりがいいだろうか。シャングリ・ラとはそのヒルトンが『失われた地平線』のなかで描いた理想郷だった。中国ふうにいえば桃源郷=ユートピアである。 七十年も前に書かれた小説の舞台が実は雲南省迪慶(てきけい)チベット地区の山奥、中甸(ちゅうでん)ではないかという中国の郷土史家がでた。そしていま雲南は省をあげてのシャングリ・ラ狂騒曲が演じられていた。 この小説では、一九三一年、インドの争乱を逃れて英国領事ら四人の乗客が飛行機で脱出するが、機はヒマラヤ山中に不時着し、パイロットは「ここはシャングリ・ラだ」というなぞの書葉を残して死ぬ。四人はラ・マ大寺院の張老人に助けられるが、そこは月が青白く輝き、深い森や川や谷に囲まれた大自然だった。不老長寿の地、時の流れから解放された秘境だったが、四人の中の青年が現地の中国嬢と恋に落ち、そのためシャングリ・ラを後にする…。 成田から雲南省の省都昆明まで週一回の直行便で五時間。昆明世界遺産「老街」で知られる麗江まで空路四十分。そこで一泊し、車で五時間の中甸へ行った。雲南省は少数民族の宝庫で、ここはチペット族の町である。町にはにわか造りのニュータウンが生まれていたが、郊外にはシャングリ・ラもかくやとぱかりの大自然が広がっていた。 黒くかげった森があり、白く明るい川が流れていた。なだらかにうねった草原があり、星座を散りぱめたように湖が点在していた。しかし初めて訪れたのに、いつか、どこかで見た'ような風景なのだ。心理学にデジャビュ(既視感)というのがあるが、そうだ信州だ、信州の山や野なのである。 「標高三千四百メートルはあります。いきなり駆けたりしないでください、高山病になるから」と、案内してくれたチベット族の女性・ヤンチーさん(二十三)に念を押された。草原に八月の日は高く輝き、冬のように冷たい風が吹いた。シャングリ・ラの山野は現実のようにも見え、夢幻のようにも見えた。( (産経抄担当・石井英夫) |
標高3450メートルの高知にできた森の湖「ちゅう都海」。空気が薄く、息が苦しかった(香格里拉
秘境の”小宇宙”脚光の予感 中国雲南省シャングリ・ラ 仏の顔も三度だぞ"などというおしかりの声もありそうだがもう一度だけ中国・雲南省の奥地シャングリ・ラの風物を紹介したい。というのは、この地は”雲南の”桃源郷”として脚光を浴びそうな予感がするからである。 シャングリ・ラは英国の作家ジェームス・ヒルトンが小説『失われた地平線』(1923年)で描いた不老長寿の理想郷の名前である。ところが七十三後の今、そこは雲南省迪慶チベット自治区の中甸(ちゅうでん)ではないかという郷土史家の研究を受けて、”村おこし”の騒動が起きた。同省はこの五月、中の名をなんと「香格里拉」に変えてしまった。シャングリ・ラの中国名である。省都・昆明の北西七百キロ、訪れた地はなるほどシャングリ・ラにふさわしいかもしれないと思わざるをえなかった。切り立った深い谷と、なだらかに起伏する丘と、みはるかす雲彩の緑の森と。そのなかにちりばめられた湖が点在していた。町外れには小説にでてくるような巨大なラマ教寺院があり、その向かいには鳥葬の丘があった。 明らかなチベット文化圏の雲の向こうの摩訶不思議な秘境の”小宇宙”だったのである。(産経抄 石井秀夫) 中国人はなんでも食う。羽のあるものも、足のあるものも。これはハチの巣(左の写真・昆明の市場) 近くの山はマッタケの宝庫である。多くは日本に輸出されていた。(中の写真・昆明の市場) そびえたつラマ教寺院「松賛林寺」。242房があり、この向かいに鳥葬の丘があった。(右の写真の丘の上?香格里拉) 情報源:この世の理想郷、誰もが夢にみる世界、イスラム教の人びとの理想郷(天国)は日本の日光ということをパキスタン人に聞いたことがあります。事実日光を訪れるイスラム教の人は多いそうです。私たち日本人も大自然の偉大さにいち早く感じ畏敬の念を持つに至った文化を有している。いつも産経抄になるほど、なるほどと納得支持していた折に、産経抄を一週間休むというメッセージを紙上で見ていたが・・・シャングリ・ラ行きとは・・これまた 納得です。感動を頂きたく産経ファンのみならず皆様にぜひぜひお見せしたい次第でーす。 情報源:産経新聞産経抄担当・石井秀夫「H14,9,11」感謝、感謝もう一度感謝! |