御挨拶     藤川流宗家 会主 藤 川 爵、応

 地球温暖化の影響で全世界的に各地で異常気象が起きています。早魃による砂漠化、局地的集中豪雨による大洪水、巨大台風、ハリケーンの発生、平均気温も上がり続けています。四季の移り変わりの美しい、いや美しかった私達の国にもその余波は刻々と押し寄せています。今年の前半もいろいな事がありました。三年に一度の参議員選挙、その結果が国民生活にどう活かされて来るのか、五十万件の、宙に浮いた年金記録、コムスンの不正事件、渋谷のシエスパの爆発事件、ミートホープ社の「偽牛肉コロッケ」事件等々、いやはやため息かでますね。要は先ず一人ひとり、個々の考え方、生き方がすべての源流になっている事を再認識しなければならないと思いよす。

 ご挨禅が遅れて申訳けございよせん。
本日はお暑い中を国立大劇場にご来場戴き誠に有難うございました。 藤川流は今年四十周年を迎える事が出来ました。これも偏えにご来場の皆様方を始めとして諸先生方、日本舞踊を愛し温かく見守り育てて下さった多勢の方達、そして門弟諸氏の御力添え御協力の賜物と心から感謝しております。

 創流四十周年、四十は「不惑の年」、「四十にして惑わず」等申しよす。確かに四十年は短い時間ではありよせん。貴重な経験、体験を積んで、それなりに成長して当たり前、判断力、対応力、決断カ、若者には難しい事柄をテキパキと処理し理解して行く能カが求められる中間管理職の時代ですね。 

 でも厳しい時代に生きる私達はそう簡単に達観出来る答がありよせん。生涯を思い惑い、思考を繰り返しながら一歩づつ進歩して行く、特に日本舞踊界に生きる私達にとっては、芸道に終着点はありよせん。立ち止まる事は印退歩に驚がります。日々前進、精進あるのみです。

 門弟一同も一人ひとりが個々の能力をよりレベルアップする為日夜努力しています。これも藤川流が将来大河に育つ為の重要な源流として大きな役割を果たして呉れている事を宗家として誇りに思っております。

 芸を生む苦しさの反面、踊る楽しさは何ものにも変えられません。本日の舞台、皆様もご一緒に大いに楽しんで下さい。

 最後になりましたが御多忙の中をご出演ご指導下さった各流の諸先生方に心から御礼申し上げます。 本当に有難うございました。

                         平成十九年八月吉日

 娘(家元澄十郎)はこのたび義太夫「二十四孝」を名流花柳春先生のご指導を戴きその成果を皆様にご披露いたしよす。 ご期待下さい。