偶感
                西郷南洲

幾たびか 辛酸(しんさん)を歴(へ)て 志(こころざし) 始めて 堅し

丈夫
(じょうぶ) 玉砕するも 甎全(せんぜん)を 愧(は)

(わが)家の 遺法(いほう 人知るや 否や

児孫
(じそん)の為に 美田(びでん)を 買わず









OK

語意:辛酸=ぎんなん辛苦。玉砕=玉となって砕ける。甎全(せんぜん)=価値のない瓦のように生きながらえる。美田=財産、豊かな土地

通訳
人は多くの困難を経験して、始めて志操堅固となるものである。大丈夫たる者、散るべき時は玉と砕けても、生き恥を曝さないのだ。我が家の訓えは、他人は知っているだろうか。子孫を柔弱にしない為に、財産などは残し伝えないのだ。

参考この詩「美田を買わず」とも題されている。