アインシュタイン宇宙的宗教の意義を語る

〇良心の教会

アインシュタインは私を見て言った。「だから、私の最もすばらしい教会は、自分の手でひつそりと設立した良心の教会なんだ」。そして、みなのいぶかしげな顔をながめてから、こうつけ加えた。「没我、慈悲深さ、隣人への奉仕、これらはこの教会が多くの信者を勧誘するかわりに一度は実践する項目だ。宇宙的宗教のみが唯一の答だ。そうすれば、貧しい者の人権を犠牲にして権力を支える教会政治はなくなるだろう」

「来世を信じないのですか?」と牧師は開いた。
「そうだ。私が信ずるのは宇宙のことだ。合理的だからね。どんな出来事にも、その根底に法がある。それに、この世における自分の目的も信じている。自分の良心の言葉である直観は信じるが、天国や地獄についてどうこう言うのは信じない。今この場所、この瞬間に関心があるんだ」

「ああ、魂(ソウル)のことですね。とすれば、死後の生を信じるのですね」「私が信じているのは」とアインシュタインが言った。
「愛し、奉仕する、といった、この世の義務を果たすかぎり、死後のことを心配する必要はないってことだ」

 「わが神は、君が考えている神とちがうかもしれないが、わが神について言えることは、私を人道主義者にしてくれたことだ。自分がユダヤ人であることを誇らしく思うのは、ユダヤ人が世界に聖書とヨセフの物語をもたらしたからなのだ。生涯私は、人の命を救うように努めることだろう」

★「次に原爆が使われたら、私たちはみんなおしまいなのでしょうか?」
「そうは思わない。世界の人口の三分の二以下は死んでしまうだろうが、もう一度やり直すのに十分なだけの人間が生き残るだろうね」

★破滅を防ぐ手だてはあるのですかとたずねた。

「あるとも」とアインシュタインは言った。「邪悪な心を征服さえできたらね。科学的手段に頼らず、われわれ自身が心を入れ替え、勇気をもって語れば、人の心を変えられるだろう」。自然のカについての知識は惜しみなく分かち合うべきだが、それは悪用を防ぐ手だてを講じた場合にかぎられる。戦争と平和は同時に準備できないということを悟らねばならない。心を清めて初めて、われわれは世界を覆っている恐怖を振り払う勇気を見い出すだろう」

「もし、各宗派に注文をつけられるのなら、まず、自ら回心することから始めなさいと言いたい。そして権力政治をやめることだ。彼らがスペイン、南アフリカ、そしてロシアで、どれほどひどい災厄をもたらしたか考えてみたまえ」