会報第14号           一の害巡拝            平成14年10月1日

   一の宮巡拝会   初の全国会員の集い報告   巡拝会発足と経過報告
 
世界文化遺産に指定された安芸国一の宮厳島神社のある宮島町で第−回「世話人・会員の集い」を開催したところ、北は北海道・青森県、九州は福岡・長崎県まで四十五名の人が集まった。世話人になった人も、会員も初めての対面という、ただ全国一の宮をめぐつている人たちの自然発生的にできた会の集まりである。 進行は近畿フロック世話人関口行弘(以下敬称略) があたって進められた。入江孝一郎から世話人を代表して挨拶
から始まり、巡拝会発足と経過報告がなされた。

 「巡拝会は、一の宮の啓蒙宣伝を巡拝者が行う会です。何でも対価をもとめるこの世の中に何も対価を求めず、一の宮のことだけに集まる熱心な方々の会合です。ここには、日に見えない何かに命じられた人が集まっています。会員は、巡拝会報に投稿して、それを知人に見せ、一の宮巡りの楽しみを知らせ、その輪を広げてください。行き先の見えない、何が起っても不思議はない今日です。一の宮巡拝を重ねているうちに、今あることを感謝する気持ちになります。今日お集まりの方は自然に、立派になっています。そのような人が増えることにによって日本は再生されます。」と経過と展望をのべた。

 平成三年七月、「一宮」を地名とする市町村と全国十九の商工会議所が中心となって、当時のサミットブームにまねて愛知県勤労福祉会館にて「一宮サミット」が開催された。この気運を察して伊勢国一の宮椿大神社山本行隆宮司は、全国一の宮によびかけ、十月に摂津国一の宮住吉大社で結成大会が開催され、全国一の宮会が発足した。「一宮サミット」 は一宮の地名の市町で、毎年持回りで物産市とともに開催されてきたが消えてしまった。 平成九年十一月二十日、『全国一の宮御朱印帳』 が完成、一の宮社務所に置かれるようになった。平成十一年七月一日『一の宮巡拝』 会報が、社頭で配付され一の宮巡拝が宣伝された。以来、御朱印帳を持って巡る人が増え、現在五千冊が出回った。一の宮を巡拝している人から、何か相談できるところをというのを受けて、一の宮巡拝会がつくられ、これを世話する人を会報で呼びかけたところ、ブロック別に名乗りがあがり、その顔合わせというのが今回の集いである。自然にできた不思議な会である。また、驚いたことにバイクで駆巡る人やアメリカ人が世話人に名乗り上げたり、プロの舞踊家が、一の宮行脚を志など、誰にも頼まれていないのに、自然発生したことである。

 一の宮巡拝をする動機はさまざまである。日本全国に旅をできるから、スタンプラリーの域で御朱印をいただくのが楽しみで参加している人、日本に留学に来て、何となく興味を神社にもって一の宮をめぐる外国人、一の宮を巡って御朱印をいただけるかなと心配する人、ページを間違わないで書いてくれるかな、墨が乾かないので、ドライヤが用意されているといいのに、筆ペンやマジックで書かれたらどうしよう、などとさまざまな思いで巡っているうち、自分のことのお願いより、毎日が元気で巡れることを、いつしか神様への感謝の気持ちに変るようになったという。これはあとの参加者一人ひとりの発言のなかもにでてきた。一の宮に来る人は、一の宮巡拝に理解できる人である。

 社頭で配る 『巡拝会報』 は、巡拝の動機をつくるもので、それぞれの思いを投稿(葉書でも) することにより、多くの刺激があたえられる。全国にある一の宮の存在を多くの人に知ってもらうことが、先ず一番である。しかも江戸時代のはじめ橘三喜の 『−宮巡詣記』 の刊行や 『元禄地図』の中に諸国一の宮表にあることを知らせることである。

 
一宮ノオト著者の話
 著者は一の宮巡拝者なので、話をしぽって安芸−宮の特色について話した。正式参拝・社殿・祭祀・祭神・神名帳安芸国の特色などである。『一宮ノォト』 は平成十四年十二月に、思文閣出版から本名の斉藤盛之の名で単行本として発刊される。

   書籍紹介   神道と祭りの伝統  茂木貞純著
 日本人は、古代から山や木、岩や泉、森を対象に、そこに目に見えない神霊を確認して神々や国土と人間との間につ
ながりがあり、断絶がないと考え、そこに神を祀った。創建以来、神の鎮まるところとし祭祀してきた。 神社を創建以来継承し、今日に伝え、今日も生きているのが、延喜式神名帳に記載されている神社をはじめとする全国にある鎮守の森である。創建以来の水と空気と自然をそのまま伝えられたのは、神を祀った人々が、神様に喜んでいただけくために始めた祭が伝統となり、継承の原動力となったと思われる。

 日本は長い神仏習合の歴史がある。いま、お盆は仏教行事になっているが、本来は神道の行事である。迎え盆で家
に先祖の霊を迎火を炊いて先祖を招き、盆棚をつくって先祖の御座とする。やがて送り盆となり、精霊船で送る。 古来、死後の霊は故郷の自然に帰るといわれてきた。盆や命日には家にかえるから手厚い祭がなければならないと盆の行事があった。正月の歳神様とともに、盆の行事は神道から始ったのである。

 この本は、よくわかる神道として、祭りの伝統やその他のことも、何か疑問に思うことに答えてくれる。 著者は神社庁総務部長にあるが、神道の基本的となる認識が消化不良になっている現実に直面してことが動機となった。読みやすくポケット版なのでおすすめする。 (神社新報社一〇〇〇円税別)