草葉船山(くさばせんざん)作 西土(せいど)の牡丹(ぼたん) 徒(いたずら)に自(みずか)ら誇(ほこ)る 知らず 東海(とうかい)に銘葩(めいは)あるを 徐正(じょせい) 当日(とうじつ) 仙(せん)を求むる処(ところ) 看(み)て祥雲(しょううん)と做(な)せるは 是(これ)此(こ)の花 |
語意: 西土:漢土中国。東海=日本のこと。銘葩:名花、桜のこと。徐生:中国秦代山東省琅邪出身の方士「徐福」のこと。始皇帝 に上書して東海に仙人をもとめんことを乞い、許されて童男女数千人を率いて日本に来た。熊野湾に漂着したが遂に帰らなかった。 新宮市にその墓を伝える。 通訳: 昔から中国では牡丹を国の花とし、花の王として誇称しているけれどもそれは東海日本にもっと素晴らしい花があることを知らないからである。遠い昔徐福が来朝して仙人の住家を尋ねたが、当時、山に端雲がたなびいているよと見たのは、雲にあらず、実はこの桜だったのである。
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