応神天皇陵きょう調査. 明治以降初の民間立ち入り

宮内庁が応神天皇陵として管理する誉田御廟山(こんだごぴょうやま)古墳(大阪府羽曳野市)=写真=ヘの立ち入り調査が24日に行われる。日本考古学協会など16団体に宮内庁が許可したもので、同庁によると、学術調査を申し入れた民間の研究団体が天皇陵の古墳に入るのは、明治時代以降初めて。

研究者からは「画期的な一歩」との声も上がるが、墳丘には入れず、成果は限定的になる見通しだ。応神天皇陵は5世紀の築造とされ、全長約420mで仁徳天皇陵に次ぐ大きさの前方後円墳。今回立ち入れるのは、墳丘を囲む内堀の外側にある内堤(土手)のみだ。

宮内庁が学術調査のため陵墓(歴代天皇、皇族の埋葬地)の立ち入りを民間団体に許可したのは、平成20年の奈良市の神功皇后陵(五社神古墳)以降5カ所目で、天皇陵では初めて。

宮町庁は19年に決めた内部規定を基に、古墳は墳丘の1段目まで立ち入ることを許可してきた。宮内庁陵墓課は「堀を渡る安全性が確保できれば、墳丘の調査を認める司能性がある」としている。だが、"核心"部分の墳丘中心部については、「ほかの天皇陵を含め、今後も学術調査の許可は考えていない」(宮内庁幹部)という。

日本考古学協会の陵墓担当理事を務める山田邦和同志社女子大教授(考古学)は「協会としては、将来的には上まで登らせてほしいとお願いしている。墳丘の1段目までというのは、宮内庁と協会の『妥協の産物』といえる」と話す。

一方、「日本第2の巨大な古墳に少しでも近づける、大きな一歩と前向きにとらえている」と期待を込める。調査時間は3時間。発掘や遺物の持ち帰りは禁じられ、徒歩で1周約2・2キロの内堤を回り、形状や遺物を目で確認する程度にとどまる見通しだ。

産経新聞H23.2.24