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 そのように「寒さを最後に我々にわからせることで鎮めることができるでしょう」と。彼と短時間ではあるが、話を聞いた。

     

Q:日本人は何百年という後でも、何故モンゴルの霊を忘れないのでしょうか。霊に関する伝説でも、ある  のですか?
ANS:今から721年前に元朝の軍が日本を攻撃しました。大勢の兵士が勝ったことは勝ちましたが、亡くなったことは亡くなりました。日本がほとんど負けかけたそのときに海の台風が吹き、残った兵士たちは退きました。再び攻撃してくるだろうと、日本人たちは非常に恐れていました。最後の攻撃の数年後、日本の有名な将軍が戦争で亡くなった兵士たちを記念して寺を建てさせました
(注:鎌倉円覚寺)敵及び自分の亡くなった兵士たちのためのこの寺院は現在もとても有名です。戦場で亡くなった人々のために幸せを行う、世界でたったひとつの寺院と言ってよいでしょう。「720年程前の戦争の戦いのことは、モンゴル人はほとんど忘れてしまっている。ハルハ戦争のことは、しかし全員が思い出します」とダライラマが我々に言っていました。祈りの時には大勢の方々が来るだろうかと思っていました。しかしいらしたごく少数の方々は心から祈っていましたね。

Qモンゴル・日本が、いつの日か戦ったにしろ現在は友好的な国どうしとなっています。 日本は私たちの一番大きい援助者のひとつです。この関係に、何が影響したとお思いですか。
ANS:どんなに攻撃されてもその間違いを思い出さない心が今でも日本人にはあります。そして日本、モンゴルの民族・祖先は同じです。日本の子供も生まれたときには青いあざがあります。 日本ではこれをモンゴルのハンコ(蒙古班)と言うのですよ。ですから内的に心を通じてモンゴル人と関係があるのではないかな。

Q:祈りの連盟について。ここに普通の方はいますか?
ANS:日本の国は昔から68県から成っていました。彼らはみなそれぞれが信仰を持っていました。1500年ほど前にこれらの寺が建てられました。世界の他の国々の寺院の場合は古い寺院を倒し、ときには無くしてしまいますが、日本は大切こ保存し、祈る人々の力により現在も寺が生きています。1500年前と、祈り方や奉り方も変わりません。森や山水はいろいろです。寺で祈る心が清められ静められます。神道の神社に行き祈る人々を、巡礼者と呼んでいます。

Q:巡礼者はたくさんいるのですか?若者たちも祈りますか?
ANS:10,000人
(注:御朱印帳の販売数)ほどいます。この数を百万にする活動を始めています。若者もいます。アメリカ人もお祈りしていますよ。

Q:モンゴルでもトヴホン、マンジシュリ、エルデネ・ゾーなど歴史的な場所があります。こういった寺々を巡礼するお考えもあるだろうと先ほど思いましたが?
ANS:モンゴルには世界に誇れる寺院があります。巡礼の人々が来れば日本人もモンゴルの寺院を周って祈ってもいいでしょう。大勢の人が祈りのために来るということは旅行者も増えます。共に祈る人の間の関係は悪くなりません。つまり、そういうときには戦いが起こらないでしょう。

 本当に良いお考えです。ありがとうございました。

そこから帰る道中、心がなんとも穏やかになった。雨はあいかわらずしとしと降っている。戦争で亡くなった若者たちの霊も鎮魂され、喜んで泣き続けているのだろうか。(了)