神社本庁・・ 明治神宮離脱へ
「将来の運営考え判断」資金面打撃「寝耳に水」

明治天皇と昭憲皇太后を祭り」全国屈指の参拝者でにぎわう明治神宮(東京都渋谷区)が、これまで一体的な宗教活動を行うために所属していた「神社本庁」 (同)との関係を見直し、離脱に向けた手続きを始めたことが十日、分かった。「将来の運営を考えた判断」とする明治神宮側に対し、「寝耳に水」と神社本庁。有力神社が独自色を強める動きに神社本庁は当惑しており、神社界に波紋が広がっている。

明治神宮の説明によると、神社本庁との関係を見直す旨を記した公告を八日付で神宮敷地内に掲げた。すでに最高意思決定機関である責任役員会も全会一致で離脱を可決。十日間にわたる掲示後、宗教法人法で定められた二カ月の「据置期間」を経て、行政手続きに踏み切るとしている。

 神社本庁は神社界の一体的な宗教活動を行う「包指宗教法人」の法人格を持っており神職資格の管理などを行う一方、全国に約八万ある神社のうち七万九千の神社を傘下に収めている。 明治神宮が見直すのはこうした「包括」 「被包括」の関係からの離脱。

明治神宮の法人規則の改正を東京都に申し立てることになる。 神社本庁は東京都に対し、明治神宮の手続きの違法性について異議申し立て」ができる。しかし、神社界の中で明治神宮の独立色が強まるのは必至。明治神宮は神社本庁の活動資金を支える大きな神社の一つで、神社本庁にとっては資金面などで大きな痛手となることは避けられない。

 すでに明治神宮は神社本庁に離脱の意向を通知した。神社本庁は「突然なのことで驚いているが、理由は思い浮かばない」と当惑しており、認証申請を思いとどまるよう明治神宮に働きかける方針。産経新聞の取材に、明治神宮では「(明治神宮の)将来的な運営を考えたうえでの関係見直し」と説明し今後の宗教活動には全く変更がないと強調しているが離脱を決めた具体的な理由は「コメントを差し控えたい」としている。

関係者の間では、今回の離脱に向けだ動きを「経営的に潤っでいる有力神社にとって神社本庁に属する意味はあまりないのではないか。神社本庁の活動資金を、明治神宮がどの程度負担するかをめぐって、双方の見解が対立していた」といった見方がある。また、「離脱で神社界の足並みが乱れたり、対立が深まるのが心配」といった不安の声も聞かれる。


情報源「産経新聞平成16年5月11日」 から・・・


 

明治神宮 明治天皇と昭憲皇太后を祭神に、全国から延ベ10万人の青年団の奉仕などによって大正9
年に創建された。東京ド−ム15個分になる約了0万平方mの神宮の森は創建当時に造成された人工
林。神宮球場、絵画館などがある神宮外苑も神社の所有。                         
              

                                
 

神社本庁 全国の約7万9000の神社によって組識される。神社の国家からの分離を命じた連合国軍総司令部(GHQ)の
「神道指令」により、昭和21年設立。包括下の神社の管理・指導や、神道・神社に関する知識の普及を進めている。事務所は東京・代々木の明治神宮に隣接し、土地の一部を明治神宮から借りている。