平成11年10月10日日曜日 −の害巡拝
第2号
| 清々しい神域 兵庫県川西市 今井 勝男 一の宮に興味を持つようになったのは五年前、出雲国熊野大社を訪れたときである。初秋の頃、まだ日ざしが強かったが空は澄み切った空欄を呈していた。そのとき神社の歴史・社殿の建築様式について橋須賀収先生よりお話を拝聴したときからである。社殿の様式は古式を継承していて切妻屋根の流造とか、扉は観音開きではなく片寄せの扉であるとか、確かに千年を彷彿させるそのただずまいは、伸びやかな勾配の屋根が青空に映え清澄な雰囲気を感じた。一方結構人間臭のする神々の話、謎の多い一の宮の話と、神々の世界の雄大なロマンスの話を拝聴している内に、 これは面白い世界だと興味が湧いて来た。 それから何年かして 「一宮ノオト」 の連載が始まhリ、取材のお手伝をするようになった。三島神社・浅間神社・諏訪大社・白山比畔神社・水無神社・気比神宮等々を訪問するうち益々神社に対する興味が深まって来た。 元来、社寺仏閣を廻るのは好きな方で、京都在住の頃はよくお寺を訪れ、居間の中から、書院の窓から、庭やそれにつながる景色を楽しんだものである。ところが、これらの趣きと神社のかもし出す趣きとは異なるのである。先ず社殿には仏像とか菩薩像とか拝むV対象物がないのである。 極端な話、浅間神社の山宮には鳥居から長い大杉の並木路を登リつめたところに神が降リたという広場が囲ってある。それだけで何もないのである。しかし大きな杉木で囲まれたその空間には表現しえない何物かを感じさせる雰囲気があった。静かに清楚でで澄切ったその空間こそ私には好ましく思えた。 昔、早朝、祖父が起床すると屋外の水道で洗顔し口を漱いだあと、登ってくるお日様に拍手を打って拝んでいたすがすがしい姿を思い出した。 |
| 元禄地図に興味 大阪府大阪市 徳永 照正 珍しい 「元禄地図」 を送っていただき興味深く拝見しました。既に私は古社を中心に歴訪しましたが、今回の 「元禄地図」 は大変参考になhリました。一の宮・官国弊社を含めて全国で二百二十社を参拝しました。そのしるしとして御朱印を掛軸に完成。私の人生の内での一つの誇リと思っています。唯我独尊と独りでやったことでしたが、最近全国的に一の宮冨巡拝会が結成されことは誠に同慶の至りです。お仲間に入れて頂け幸いです。 |
| 標高三千三mで 御朱印帳拝受 埼玉県蓮由市 寺田土真由美 富山県立山連峰の室堂から一の越まで登って、そこで泊り、翌朝、低気圧が通過する悪天候中でしたが、つぎからつぎと登山者が、雄山を目指して霧の中を登っていきます。雄山神社峰本社はこの頂上にあるのです。 霧と、ときどき降る雨、風の中を黙々と登っていきました。こうなっては登るも、引き返すも苦しみは同じです。 ただ精一杯の自分が、岩石を見極めて足を踏み、一歩一歩登るだけです。 やっと霧の中に幽かに社務所が見えてきました。思わず声をあげても、下から吹き上げる雨に、足が進みません。社務所の休憩所で、ずぶ濡れの身を落着けて、海抜三千三m、頂上のお社に参拝すると、何だか自然に感謝の気持ちが湧いてきました。 初めて社務所で 「全国一の宮御朱印帳」をいただき、一の宮の巡拝を始めました。何か目標ができ、下山の足は軽くなったような気がしました。私の御朱印帳には七社の神印が押されています。 （カメラマン助手） |
| 書籍紹介 神道と日本人 葉室頼昭著 世界の国の歴史を見れば分かるように、その国の歴史と民族の誇りを失った国は、必ず滅びます。このままでは日本の国は滅亡の道をたどっていると思われます。何とか今こそ原点にたちかえり、みんなが、日本人という自覚と誇りに目覚めて欲しいと、切実に願っているのです。真実の日本人の素晴らしさを少しでも知っていただこうと思い、この本を刊行することになりました。一人でも多くの方々に、そういったことに触れていただければ幸いに存じます。 と、奈良の春日大社宮司の著者は切実に訴えている。 経歴は大阪大学医学部卒の医学博士、外科病院長や葉室形成外科病院を開業のかたわら大阪圏学院通信教育で神職の資格を得て、さらに神職最高位の明階を取得し、河内国一の宮枚岡神社宮司となった。西洋文明の最先端ともいうべき西洋医学のなかの外科医から神道の世界に入り、神への奉仕者となった。病気、生命と対決してきたので普通の神職より見方が違う。 先端科学を駆使して、ピックパンから歴史が始まり、今の自分の体が受け継いでいる。神様の精密な計算でつくられた人間、いや生物には病気がないが、生物は進化しているという。まさに F古事記』 の世界である。いま中心がなくなり、ただ単なる集団となり生命力がなくなった。先ず本書を読んで自分に訴えて欲しい。 春秋社発行・千八百円税別） |