の規定ではない。憲法9条の「武力による威嚇または武力の行使」などの文言は1945年6月に制定された国際連合憲章の影響とされ、憲章制定後の各国憲法では、平和主義条項を盛り込むのがむしろ一般的だ。

「平和」を国家目標にした国もあれば「常備軍の原則的不保持」を掲げる国もある。「侵略戦争または攻撃的戦争の否認」「国際協調(平和共存)」「内政不千渉」「中立政策の推進」「国連憲章の尊重・順守」「紛争の平和的解決」とさまざまで駒沢大学の西修名誉教授によると、何らかの形で平和主義条項を盛り込む国は157カ国に及ぶ。

日本国憲法のみが平和主義条項を持つという認識は誤りで、平和主義を憲法に規定しつつも「平和主義=非武装」と考えている国家は皆無ということだ。

「現行憲法は世界的に新しい」という認識も広くある。しかし、世界192の独立国で成典憲法を持つ178カ国のうち、日本国憲法は古い方から数えて14番目。しかも日本より古い13憲法はその全てが憲法改正を図っている。

「新しい部類どころか、きわめて古い憲法」(西教授)で、憲法が現実に合わなくなると、柔軟に改正に踏み切る。これが世界では一般的な考えのようだ。/おわり

この企画は社会部・安藤慶太、政治部・榊原智、峯匡孝、外信部・田中靖人、雑誌正論編集部・小島新一が担当しました。