米カリフォルニア州グレンデール市が設置した慰安婦像をめぐり、在米日本人らが市に撤去を求めた訴訟で、在米中国系反日団体が「日本政府は慰安婦制度を認め謝罪してきた」との意見陳述書をロサンゼルスの連邦地裁に提出したことがわかった。19日、都内で記者会見した原告の一人、目良浩一氏が明らかにした。

団体は世界的に反日運動を展開する世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)。慰安婦像は在米韓国系団体が中心になって設置し、抗日連合会は水面下で支援しているとされてきたが表舞台に出てきた格好だ。

意見陳述書は、訴訟とは無関係の第三者でも裁判所に提出できる。抗日連合会が今月15日に提出した意見陳述書は(慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話などを引用して、日本が「慰安婦計画」を繰り返し認め、謝罪してきたことを詳述。河野談話の部分では、「慰安所の設置、管理及ぴ慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」との箇所を下線で強調している。

目良氏は「グレンデール市が米連邦政府の独占的領域である外交権を侵したことが訴因であり、意見陳述書は訴訟の本質から外れている」と述べ、反論文書を裁判所に提出する方針を示した。

訴訟では原告側代理人の弁護士事務所が撤退したが、目良氏は裁判続行を強調。撤退の理由について「シリコンバレーの(IT)会社による脅しが決定的な力であったようだ。このことを裏付けるのが意見陳述書だった」と語り、抗日連合会が企業に影響を及ぼした可能性を示唆した。

訴訟は現在、被告である市側と文書のやりとりが続いており、初公判の日程などは未定となっている。