共産主義崩壊の予言 (アーノルド・トインビー著・歴史の研究第15巻、P-63)

世界教会と文明との関係についてのさまざまな見方

・・・・ソ連が西欧化しつつある世界にその世界国家を提供する運命にあるとするならば、疑いもなく共産主義は、その際、世界に存続する唯一の大国になっている国家と結んだことに対して、報酬を受けるに違いない。

その時には、ソ連の国教である「イデオロギー
」は、公式の信仰として世界に押しつけられるだろう。しかし、ソ連の世界制覇の見込みがどうであろうと、歴史の先例に照らして、たとえ共産主義が報酬を得るとしても、それは海の果実であることは自信をもって予言することができる。・・・・・・・・というのは、

人間の心は、この地上において宗教のみが支配できる領域であって、政治的強制という根棒で意志を踏みにじって、そこへ侵入を強行することほど人心を離反させるものはないからである。