神話から人生見つめ直せ 神話は、世界の始まりの時代を語る物語で、哲学や科学と同一の根を持っている。どれも「驚き」から始まるということ。世界の出発点を自分自身の根拠につながる物語として考え、一人から人へ語り継がれ、民族が作者のような形でできあがってきた。神話と昔話の区別は難しいが、一般の事実を語る昔話と異なり、存在理由を基礎づけるものといえる。 つまり、すでにできあがった世界の話でなく、「なんで世界があるのか」という疑間に答える。神話はそれぞれの民族の間で、文字でなく口伝えに言い伝えられてきた。都市化とともに、神話を口承してきた共同体もなくなったが、残された各民族が特有に持つ神話を比較することで、自分自身の民族が持つ神話の理解をより深めることができる。 例えば、他民族の神話というものを知った西洋人は、自分たち一人が世界を深く考えていたという思いこみを突き崩され、色々な世界観を学んだ。このことは意義があり、現代の歴史にまで影響がある。また、神話を比較するときは他との比較だけでなく、自分たち自身の神話を見つめ直すことも必要だ。自分たちの歴史の出発点を再認識し、自分自身を再評価することが重要になってくる。 神話は人から人へ口承されてきたものと言ってきたが、「創世記」と「古事記」は世界が一体どうできたのか、一つの答えを出している点で神話と呼べる。 キリスト教の教典にもなっている創世記はこの世界にあるすべてのものが神様によって造られたとしている。こういう世界観が西洋が世界をみるときの基本になっている。・・・下につづく |