一服どうぞ   ”人類に神仏が大きな警告”    裏千家前家元干玄室
                     【情報源:産経新聞H20('08)12.7】
 
神道・仏教の国といわれている日本も1549年のフランシスコ・ザビエルのキリスト教布教によって、多くの伴天連=バテレン(神父)が日本に滞在、そのおかげでキリスト教理解者や信者も増えたのである。そして、洋の思想が入り込んだ。大体日本という国は国造りの古代から大和朝廷ができた歴史の中に、中国や朝鮮の渡来の文化が多彩なほど入ってきている。たとえぱ当時の中国や朝鮮の文字が、今日本で使用されている漢字やひらがなの基となっている。ポピュラーなものとして、約2300年前に南朝鮮のアルタイ系言語から日本語が分離した、という仮説が1950年代に大野晋教授から出されている。

 聖徳太子の時代は、漢字で「憲法」や漢詩や歴史を記したが、和歌は漢字や漢語では理解し難いので、万葉仮名を使い、後にひらがなやカタカナが生まれ、読まれるようになった。また漢語を読むのには、その意味を知るために訓読が生まれる。文字は『万葉集』(759年)以前にすでに天智天皇時代(668〜671年)にはあった。こうして平安時代には、紫式部により『紫式部日記』が記され、『源氏物語』が生まれている。本年11月1日に、源氏物語千年紀を迎え、「古典の日」が提唱された。漢字という難解なものを取り入れた大和国日本は、それにより学術的な展開をすることができたのである。当時は和魂漢才であった。しかし、第二次世界大戦後は、アメリカ占領政策で日本的家族構成が壊されていく。キリスト教徒でもないのに、グリスマスで12月はもてはやされる。しかし、農耕民族でありながらクリスマスは祝うのに、神嘗祭(かんなめさい)で自然環境や米や麦などの食に感謝をささげることを置き去りにしてはいないか。どうやら洋魂洋才の日本になってしまっているかのようである。和魂の心を今こそ持ってほしい。

 
地球に住み神や仏のもとで、穏やかに生活をしている人類が何割いるだろうか。アフリカでの食糧危機や干魃(かんばつ)で水もなく、また民族同士の紛争、ひいては自己満足意識で他を制しようとするテロリズム等々、なぜこんな嫌な醜いことばかり起こるのかと悲しい思いがする。歳末のあわただしい月であるが、世にはクレスマスや正月どころではない人々も多くいる。一時的ではなく、そうした人々を救うためにはどうしたら良いのか。国連という機関があっても、多くの国々は自国の権利や利益のために用いることで精いっぱいで、国連の機関も強い国にいいなりにされているのではないだろうか。

 各国がもっと真剣に、病気・貧困・食糧危機・戦争などの最悪の問題を、一日も早く解決するために勇気と英知を働かし物心の援助をし、手を差しのべていかなければならないのである。温かい仕合わせなぬくもりの中にいると他の人のことなど考える余地もないだろう。しかし、「仕合わせ」すなわち「幸せ」は差別区別なく、みんなが「仕え合う」ことによって生まれるものである。

 アメリカのサブプライム問題が大きな金融危機をもたらし、世界経済が恐慌に陥っている。驕りたかぶるを人類に
神仏が大きな警告出されたと、心を引き締めなけれぱならない時期なのである。.(せんげんしつ)