平成27年(2015年)5月15日金曜日 安倍晋三首相は14日、新たな安全保障関連法案の閣議決定を受け、記者会見した。要旨は次の通り。 【不戦の誓い】 70年前、私たち日本人は一つの誓いを立てた。もう二度ど戦争の惨禍を繰り返してはならない。この不戦の誓いを将来にわたって守り続け、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この決意の下、日本と世界の平和と安全を確かなものとするため平和安全法制を閣議決定した。 【日米同盟の強化】 わが国の安全保障の基軸である日米同盟の強化に努めてきた。先般の米国訪問で日米の絆はかつてないほどに強くなっている。日本が攻撃を受ければ、米軍は日本を防衛するために力を尽くしてくれる。私たちのために、その任務に当たる米軍が攻撃を受けても、私たちは日本自身への攻撃がなければ何もできない、何もしない。これがこれまでの日本の立場だった。本当にこれでよいのか。 【限定的な行使】 私たちの命や平和な暮らしが明白な危険にさらされている。危険を排除するために他に適当な手段がない。なおかつ必要最小限の範囲を超えてはならない。武力行使の新3要件による厳格な歯止めを定めた。国会の承認が必要となることは言うまでもない。極めて限定的に集団的自衛権を行使できることにした。 「戦争法案」などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤りだ。海外派兵が一般に許されないという従来の原則は変わらない。自衛隊が、かつての湾岸戦争やイラク戦争に参加するようなことは、今後とも決してない。 【世界平和への貢献】 海外で自衛隊の活動は間違いなく世界の平和に貢献し、大いに感謝されている。今回、国連平和維持活動(PKO)協力法を改正し、新たに国際平和支援法を整備し、国際貢献の幅を一層広けていく。しかし、いずれの活動でも武力の行使は決して行わない。 戦後、日本は平和国家としての道をまっすぐに歩み、世界でも高く評価されている。これまでの歩みに胸を張るべきだ。 【平和国家の継承】 日米安保条約を改定したときやPKO協力法を制定したときにも戦争に巻き込まれるといった批判が噴出した。しかし、そうした批判が全く的外れなものであったことはこれまでの歴史が証明している。子供たちに平和な日本を引き継ぐため、自信を持って前に進もうではないか。日本と世界の平和のために、私はその先頭に立って国民とともに新たな時代を切り拓(ひら)いていく覚悟だ。 【切れ目のない備え】 国民の命と平和な暮らしを守ることは政府の最も重要な責務だ。わが国を取り巻く安全保障環境がより一層厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守るために、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うために平和安全法制の整備は不可欠だ。 こうしたことを分かりやすく、丁寧に国会審議を通じて説明したい。平成24年の衆院解散・総選挙以来、自民党総裁として、党として一貫してこの平和安全法制の整備を公約として掲けている。 【自衛隊の海外活動】 現在の安全保障状況は、テロや核、ミサイル(の脅威)は国境を容易に越えてくる。一国のみで自国を守ることができない時代だ。国際社会、同盟国の米国と協力をしながら、日本自身、地域の平和と安定を守るのは、日本人の命と平和な暮らしを守ることにつながると確信をしている。ただ、ISIL(イスラム国)に関しては、後方支援するということではない。 【自衛官の安全確保】 自衛隊は発足以来、1800人の自衛隊員が殉職している。こうした殉職者が出ない状況をなんとか実現したい。今回の法制においても万が一、後方支援を行っている際に危険が生じた場合、業務を中止し、あるいは退避など明確な仕組みを設けている。 【抑止力の増強】 日米同盟がしっかりとしているということは抑止力、事前に事態が起こることを防ぐことにつながる。同盟に隙があると思われればむしろ攻撃を受ける危険性は増していく。地域が不安定になる要素になる可能性をあらかじめ潰しておく必要がある。 【防衛関連予算】 中期防衛力整備計画では5年間の防衛費の総額を明示している。今回の閣議決定で防衛費が増えていくことはない。 |