中国調査船が領海侵入 尖閣沖6キロ 8日午前8時すぎ、尖閣諸島・魚釣島南東約6キロの日本領海内を中国の海洋調査船2隻が航行しているのを第11管区海上保安本部(那覇市)の巡視船が発見、領海外への退去警告を行った。調査船2隻は同日午後5時20分すぎと5時半すぎ、それぞれ退去した。 中国調査船による領海侵入は平成16年2月以来。同本部によると、領海内への侵入が確認されたのは中国国家海洋局所属の「海監46号」(約1100トン)と「海監51号」(約1900トン)。領海内で国際法上認められない徘徊・漂泊といった航行をしていたことから中国語で領海外に出るよう警告を繰り返した。 調査船は潮流や水温、水深などの海洋調査を目的にしているものとみられるという。麻生太郎首相は8日夜、中国調査船の領海侵入について、「はなはだ遺憾だ。明らかに領海侵犯だから」と不快感を示した。また、藪中三十二外務事務次官は同日、崔天凱駐日中国大使に対し、調査船が領海内に入ったことに抗議、領海外への即時退去を求めた。北京に滞在中の斎木昭隆外務省アジア大洋州局長も武大偉中国外務次官に抗議した。(情報源:産経新聞H20('08)12.9) 産経新聞「主張」H20.12.10 中国船領海侵犯 極めて深刻な主権侵害だ 中国の海洋調査船2隻が8日、尖閣諸島沖の日本領海を9時間半にわたり侵犯し続けるという由々しき事態が起きた。海上保安庁の巡視船が無線などで中国語による警告と退去要求をしたのに対し、中国船は「自国領海内をパトロールしている」などと無視した。さらに魚釣島沖で1時間ほど停泊したほか、同島の周囲を時計回りに航行した。これらは国連海洋法で定められた領海での無害通航に違反した意図的な主権侵害行為である。 これを放置しておいたら、さらにエスカレートした形で領海侵犯が繰り返され、日本の固有の領土である尖閣諸島が危うくなりかねない。きわめて深刻な事態に直面しているという認識を日本政府は持たねばならない。領土、領海を守る国家意思が問われている。 中国の行動の意図は不明だが、1992年の尖閣諸島を自国領土とした領海法を既成事実化しようとしているとも受け取れる。1968年、東シナ海は有望な産油地域とする国連報告書が発表されて以降、中国は石油探査、試掘、ガス田開発などを続けてきた。 今年5月、日中両政府は共同声明で「共に努力して、東シナ海を平和・協力・友好の海とする」とうたい、翌月、ガス油田開発の合意をまとめた。だが、この合意も詰めの交渉に入れずにいる。 “微笑外交”の傍ら、中国の戦闘艦など4隻が10月に津軽海峡を初めて通過した。11月には最新鋭のミサイル駆逐艦を含む4隻が沖縄本島沖を通り、太平洋での作戦遂行能力を誇示している。 領海侵犯が一連の示威行動と関連している可能性も視野に入れ、日本政府は中国がさらにエスカレートしないように万全の備えを取らねばならない。 現行法では巡視船は、領海侵犯した外国の政府公船に対し退去要求しかできない。今回、中国国家海洋局所属の2隻の調査船は夕刻に引き揚げたが、さらに居座った場合どうするのか。海上自衛隊に海上警備行動を発令して、領海から排除することなども考えておくべきだ。こうした備えを取ることなく、ただ傍観していれば、つけこまれるのが世の常である。 麻生太郎首相は13日の日中韓首脳会談時に中国側に抗議するという。中国の領海法制定に対し、外務省は口頭による通り一遍の抗議で済ませたが、それを繰り返すようなことはないと信じたい。 |