前原外相ははじめて世界の政治の・惨さ・実態が見え・理解できたかもしれない・・・日本人は決して不正は認めない武士道の国である




日米同盟崩壊 もう米軍は日本を中国から守らない

 元アメリカ陸軍大尉の著者が中自身の経験から、自衛隊の長所と弱点を指摘する。日米安全保障条約はどちらかの国が1年前に通告すれば破棄できるとされており、近い将来に米国が国益に照らして安保条約を破棄する可能性は十分あるという。それに備え、またそうならないように日本はどうすべきか。

 中国の進出に備えるためにも、自衛隊を効率的な防衛力を持った「国防軍」にすることを提言している。北朝鮮のミサイルに米軍がどう対処しようとしているのかも興味深い。憲法9条の理想は美しいが「それだけを信じて理想がかなわなかった時のことを想定しないのは、日本人にありがちな玉砕的な思考ではないでしょうか」と警鐘を鳴らす。(集英社・1260円)


           


   暗殺国家ロシア 消されたジャーナリストを追う 
                     福田ますみ著(新潮社・1680円


 
「制御可能な社会」の恐怖 評・佐藤優(元外務省主任分析官)        評・佐藤優

 
メドベージェフ大統領、プーチン首相の双頭体制下のロシアで、政権に対して都合の悪い記事を書く新聞「ノーバヤガゼータ」(新しい新聞)の関係者が次々と消されていく事件について、福田ますみ氏が丹念に取材し、まとめたノンフィクションだ。ソ連解体でロシアは共産主義と訣別したcそれから20年を経て欧米型自由民主主義とは異な、ムッソリー二統帥下のフアツショ・イタリアに近いような国家にロシアは変貌してしまった。

 本書はKGB(ソ連国家保安委員会)出身のプーチンが殺し屋を雇って反体制ジャーナリストを始末しているという単純な見方をとらない。〈(放射性物質によって)毒殺されたリトビネンコは、体調を崩す直前、ポリトコフスカヤを殺したのはプーチン以外にあり得ないと記者会見の席で力説していた。

 しかし、この説については、「ノーバヤガゼータ」の副編集長ソコローフは否定的だ。/「プーチンはそれほどシンプルな人間ではない。もし、この事件でプーチンの責任を追及できるとすれば、このような殺人をやすやすと実行できるシステムを、彼の政権下で作り上げたことだ」〉。評者もソコローフの見方に賛成だ。匿名のロシア問題専門家がプーチンによって構築された体制の特徴について「制御司能な社会」「制御可能な言論の自由」「制御司能な自由経済」であると鋭く指摘する。

 恐ろしいことは、ソ連崩壊前後の政治的、経済的混乱に疲れた大多数のロシア人がこのような体制を消極的にせよ支持していることだ。ロシア人はもともと政治に対して受動的である。体制が引いた線を踏み越えない範囲でもっぱら私生活を楽しむというブレジネフ書記長時代のソ連に似た状態が甦っている。

 この事態は日本人にとっても他人事と思えない。政権交代後の民主党のていたらくに対して国民は愛想を尽かしている。政治に対する能動的姿勢を国民が失うと民主党政権が「制御可能な社会」の構築に向け暴走する危険がある。