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ロシアが大国として再生するのは極めて難しい。日本の45倍の国土に住む1億4千万余の人口はすでに減少し始めた。平均寿命は男性58・9歳、女性72・5歳(2006年)で伸び悩む。国土の約3分のーを占める極東ロシアの人口減はさらに著しく、現在、わずか700万の人口が2015年には450万に減る見込みだ。

対照的に、国境の南側に広がる旧満州(遼寧省、吉林省、黒龍江省)には1億人以上の中国人が住む。彼らが労働力として極東ロシアに流入するにつれてすさまじい中国化現象が起きている。今後、さらに顕著になっていくこの現象は、両国関係に必ず負の影響を与えるだろう。中露の対日協調路線は崩れると考えてよいだろう。

極東で勢いを盛り返せないロシアは、北方領土においても同様だと見てよい。彼らはいま、北方領土に中国や韓国の資本を呼び込み、中国人や韓国人労働者を入れようとしているが、結局それは、極東ロシアが中国化するのと同じ結果をもたらしかねず、メドベージェフ大統領やプーチン首相の夢見るロシア繁栄が担保できるとは思えない。だから日本は冷静にその行く末を見ておけばよい。

だが、黙って見ていてはならない。日本国の領土を不法占拠し続け、第三国の経済力や労働力導入で既成事実を積み重ねるのを傍観してはならない。前述の世論戦を常に実行し、ロシア政府に厳重に警告し続けながら、北方領土に資本投下したり技術協力する第三国の企業を日本市場に入れない、あるいは日本の企業との取引を制限、または禁止することなどを考えるのだ。

フルシチョフ以来ロシアが渇望してきた日本の技術などは、決して渡してはならない。ここで明確に、国家意志を示すことが、ロシアだけでなく、東シナ海や尖閣諸島を虎視眈々(たんたん)と狙う中国への強い意思表示となる。

菅首相は、昨年秋、中国に膝を屈したことが直接の引き金となって、日本外交最悪の危機が生まれた責任を痛感し、いま打つべき手を打って挽回を試みよ。だが、所詮、菅首相には、中露相手にこんな大仕事はとてもできないだろう。国益を損ねるばかりの首相の実態はすでにほぼすべての国民が知るところだ。にもかかわらず、氏に替わる政治家が出てこないのが民主党の限界である。国民の政治に対す
る絶望感は首相一人の無能への絶望を通り越して、民主党全体への不信から生まれていることを、民主党は認識しなければならない。