放送番組のご案内・・・村上安弘さんから
戦争の犠牲者は人間ばかりではなかったー第二次大戦下の日本で、"無言の殺人兵器"として出兵した軍犬のドラマが制作された。NHK総合で18日午後9時から放送の「さよなら、アルマ〜赤紙をもらった犬〜」。シェパード犬のアルマと、アルマを取り巻く人々とのきずなを描いた感動作だ。(萩原万貴枝) 優れた視覚と嗅覚、そして人間への忠実さを見込まれた犬が軍事目的の「軍犬」として飼育されてきた事実は、世界各国で古くから記録にある。戦争中の日本でも多くの犬が前線に送られ、弾薬運びや伝令などの任務を遂行。その数は10万頭ともいわれている。 内藤慎介チーフプロデューサーによると、ドラマ制作のきっかけは、雑誌で目にした古い写真だったという。そこには「祝出征アルマ号帝国軍用犬協会札幌支部」と書かれた垂れ幕の横に、正面を凛と見すえて座るシェパード犬の姿があった。 幕には飼い主とみられる名前も記されていたが、人物の特定には至らず、「写真のアルマがどんな運命をたどったのか、今でもわからない」(内藤氏)という。そこから、軍犬の実話をもとにしたオリジナルの作品をつくる計画が進み、内藤氏は当時、駆け出しの脚本家だった水野宗徳氏(38)に小説の執筆を提案。 着想から約6年の時を経て、ようやく同名小説を原作にしたドラマが誕生した。ドラマでは、満州の戦地に赴いたアルマが、勝地(かつぢ)涼(24)演じる訓練士、太一の命令で敵兵に襲いかかる場面がある。血で赤く染まるアルマの口…。任務を果たし、ほめてほしいとばかりに尾をふる様子を見て、太一はアルマがふびんでならなくなる。 主演の勝地は「自分は戦争を知らない世代だが、若い人に『戦争は怖い』ということだけでも伝われば」とドラマに込めた思いを話し、内藤氏も「戦地では"もの"と化していた兵士たちが、アルマと接するうちに心を取り戻し、"人"に戻る。 人だから、感謝もできるし『ありがとう』も言える。ドラマが人の温かみを再確認するきっかけになれば」と語った。 |