アメリカ様これはいけません!

1面から続く
同じ頃、市長の非常事態宣言に発奮した反対派約300人が港に押し寄せゲートを封鎖、メア氏らは7時間半も封じ込められた。この事件を沖縄のメディァはどう伝えたか。事実は一同盟国の掃海艦が「乗組員の休養と地元との交流」を求めて寄港したにすぎない。ところが、「琉球新一報」は8歳の小学生の「戦一争が起きそうな気持ちになる」という言葉を引用して.反米軍感情を煽(あお)ったのだ。

中国の軍事的台頭で、沖縄を含む日本の周辺状況は非常に厳しくなっている。その脅威の実態と対処をこそ伝えなければならないとき、沖縄主要紙はどう見ても本来の報道の責務を果たしていない。米軍を嫌うあまり、客観的に考えられないのか、真の脅威である中国の蛮行に目をつぷるのだ。

2004年11月に石垣島周辺の日本領海を中国の潜水艦が侵犯したとき、大浜市長が強く抗議したとは、私は寡聞にして知らない。あるいは10年4月7日から9日まで、尖閣諸島沖の東シナ海で中国の大艦隊が大規模訓練を行い、10日に沖縄本島と宮古島の間を航行したとき、琉球新報や沖縄タイムスが中国の脅威を十分に報じたとは思わない。

2紙の報道はいずれも200字から400字前後で、極めて控えめだった。同盟国と、脅威をもたらす潜在敵国が判別できていないと私は感じたが、メア氏ら米国側関係者が同様に感じたとしても不思議ではない。

それでも沖縄には、国際社会における日本の立場も国防の重要性も米軍基地の必要性も全てわかっている良識派は存在する。その筆頭が仲井真知事である。民主党の鳩山由紀夫首相(当時)が普天間移転問題で年来の日米交渉の努力を水泡に帰したとき、知事はじっと耐えた。地元メディアの強硬論と愚か極まる本土政府の間に立たされたのは本当に気の毒だった。

メア氏は鳩山氏を左派と断じたが、普天間交渉をとりまとめた氏であれば、愚かなる政治家によるぶち壊しは耐えられなかったのであろう。また、メア氏は、沖縄の基地問題におカネがついてまわりがちなこともよく知っているのだ。沖縄に基地が必要な理由を、日本政府は国防論、国際政治論から論じてこなかった。国防政策に基づいて説明し、沖縄の人々を説得すべきところを回避して、常に物、カネでごまかしてきた。

沖縄県と県民がメア氏から不名誉な言葉を投げかけられる隙を作った責任の大半は、実は本土政府にある。メア発言の@ABCは大体当たっている。そしてEについてである。氏は日本には憲法改正はできないと見る。自国の守りを他国に頼る日本への最も深い侮りはまさにこの部分だ。だからこそ、菅直人首相も民主党も、メア氏に抗議する前に、まず、日本の国防の無責任体制の是正に手をつけよ。情報源:産経新聞H23.3.10