情報源:産経新聞h20.11.2一面記事

悪質操業 網かけろ

側に進入し、長時間とどまって規定量以上のタチウオやアナゴを取る韓国漁船が増えているという。17隻のうち11隻はこうした違法操業を行い、日本の取締船の検査を受けた際に、虚偽の漁獲量を記載した操業日誌を提示した容疑などで、拿捕された。最近では、韓国側で取った魚と日本側で取った魚を交ぜて船内に保管し、日本のEEZでの取り過ぎを分からないようにするなど、検査をごまかす悪質な偽装工作も横行している。

そのため水産庁は、韓国漁船が長時間にわたって日本側のEEZ内で漁をしたケースがすぐに分かるように、船に設置されたGPS航跡データを消さずに残すことや、日韓それぞれの海域で捕獲した魚を分けて保存することなどを、韓国側に義務付けたい考えだ。両国の漁業監督当局が協議する日韓漁業共同委員会の小委員会で、防止策を強硬に求める方針という。

ただ、水産庁関係者は「韓国側の抵抗が予想され、合意に至るかは不透明」としている。今月から日本海で盛況になるズワイガニ漁でも、韓国漁船の密漁が横行。日本側の取締船に見つからないように、ブイ(浮標)を浮かべずに刺し網を海底に隠して密漁するなど、手口も巧妙化しており、水産庁は取り締まりを強化する。

拿捕(だほ)排他的経済水域での外国漁船の密漁など、違法操業に対して行われる取り締まりで、船長らを逮捕し、漁船を押収する行為。国連海洋法条約で締結国に認められている。日本は漁業主権法違反で韓国、中国、ロシアなどの漁船を拿捕しているが、最多は韓国漁船。今年は、漁獲量を682キロ偽った容疑で韓国漁船「チョンイル」が6月に拿捕されるなどしている。排他的経済水域(EEZ)海に接する国が、魚介類やエネルギー資源などについて領海と同様に開発、管理できる海域。12海里の領海より広く、200海里まで設定することが国連海洋法条約で認められている。外国船の漁など経済活動も規制できるが、領海とは異なり、通航は妨げられない。日本海のように、日韓の距離が短く200海里を設定できない場合は、中間線や協議などで決められ、漁船の相互進入などを設定することもある。領有権問題がある竹島周辺にも、両国の船が活動する暫定水域が設定されている。