台湾、沖ノ鳥島へ軍艦
メディア過熱  政権後押し




「高雄=台湾の国防部(国防省に相当)高官は1日、沖ノ鳥島沖で違法操業の台湾漁船が拿捕された問題で、海岸巡防署(海上保安庁)を支援するため「海軍艦艇の派遣を検討する」と述べた。産経新聞の取材に答えた。馬英九政権の対日強硬姿勢に歯止めがかからなくなってきた形だが、一部メディアも扇情的な報道で馬政権を後押ししている。

国防部高官は派遣目的を「政府の規定により海巡署の漁船保護に協力する」ためとしつつ、派遣艦艇の形式や具体的な派遣海域は明らかにしなかった。そのうえで、「外交交渉での解決を望む」とも語り、派遣時期について明言を避けた。

一日付の聯合報、軍関係者の話として、海軍が康定級フリゲート艦(3000トン)一隻を沖ノ鳥島「付近の海域」に向け派遣したと報じていた。馬政権は3013年5月、台湾漁船がフィリピンとの係争水域で同国の沿岸警備隊に銃撃されて船員一人が死亡した事件に抗議し、同級フリゲート艦を派遣したことがある。

海巡署と行政院農業委員会漁業署(水産庁)は一日、南部・高雄港から巡視船(約1900トン)一隻と漁業訓練船(約1200トン)一隻を出港させた。3〜5日で現場海域に溶着し約一か月間、漁船の保護に当たる。

海洋巡防総局の眺洲典副総局長は高雄での記者会見で「沖の鳥礁はリーフ(岩礁)で、島ではない」と改めて同島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)を認めず、領海より外の海域は「公海」と強調。「挑発はしない」としつつも、海上保安庁の巡視船から妨害された場合は、相当の措置をを取る」と述べた。漁業署の担当者は、沖ノ鳥周辺海域は「台湾の伝統的な漁場だ」と主張し、毎年100〜200隻の漁船が漁をしているとしたが、WWN内に台湾漁船がいるかどうかは明らかにしなかった。

張善政行政院長(首相)は4月29日、日本製品の不買運動を示唆したとも受け取れる発言や「日本のことを話すだけで腹が立つ」(30日)など日本批判を繰り返し、メディアで連日、報道されている。

一方、,中央通信社によると、5月20日に発足する民主進歩党政権で「国家安全会議」の事務局トップへの就任が内定している同党の呉釧墨秘書長(幹事長)は、軍艦の派遣は「慎重に考慮すべきだ」と述べた。