(昭和21年2月5日第3種郵便物認可)壱岐日報(平18.7.17) 社説「人間性の復興を」 日本子守唄フォーラム設立へ 子どもたち待望の夏休みが今日から始まる。地域の行事やスポーツ行事などに加え、塾の夏季講習へ通う中高校生もある。それぞれに多様なスタイルで、彩り豊かな心に残る期間としてほしいものである。 その子どもたちを巡る環境の悪化は激しく、本県は子どもたちをそうした社会の現状から守ろう−と、「こころねっこ運動」を展開している。その運動の背景には、本県を含め全国的に、幼い子どもたちの命を軽んじるような事件が相次ぎ、親が子どもを虐待したり、手にかけるような事件が多発傾向にあることがあげられる。 そんな中で、親と子が互いの絆を確かめるために欠かせないという「子守唄」を通し、現代の心の文化、情操の在り方を模索しながら楽しい親子関係、あたたかな地域社会を作ることなど目的に、壱岐を発信源として「日本子守唄フォーラム」=仮称=が、県立シーボル卜大学・小林美智子教授、NPO日本子守唄協会・西舘好子代表、女優・柴田美保子さん、壱岐民話伝承グループいろり座・種田和夫氏らを発起人にスタートしようとしている。 この日本子守唄フオーラムは、親と子の絆の見直しと「愛と生命」の再認識、家族の在り方の再確認など古くから伝承される子守唄が育むことができる豊かな人間関係の見直しにより、人間性の復興、ルネッサンスを、「日本の原風景」が残る癒しの島、壱岐からスタートさせようと、来年五月をめどに、全国大会を本市で開催したい方針で、先日、湯の本で、発起人らによる日本子守唄フォーラムの趣旨、全国大会に向けての実行委員会立ち上げへの説明会が併せて開かれた。 発起人の代表的な存在である小林教授、西舘代表、柴田さんらは、その夜の説明会に集まった人たちに、子守唄が日本を変える力がある。子守唄を歌える環境は、幸福感を伝え合う環境であり、未来を担う子どもたちの環境づくりのために、子どもたちが発する心のサインを大人たちが受けとめられる社会づくりのためにも、子守唄を歌いつぐ必要がある。また逆に、子守唄を我が子、子どもらに歌い聴かせることは、子育てに追われる母親はもちろん、歌う人の心をリラックスさせるという効果もあることがが、検証されているという。 全国大会は、心を取りもどすイベント、その灯火に火をともすものとして、近く実行委員を広く募る運びである。「母子像」に代表される「生命の豊かなつながり」「愛」「喜び」「一体感」など、そこには、現在の人々に最も必要とされる心の基本がある。壱岐から全国−世界へ、是非、成功させたい大会である。 |