産経新聞 こどもの日 主張・・・・そう思います、賛成です。 "親業"もプロ目指したい 新緑の中、さわやかな風を受けて鯉のぼりの泳ぐ風景は何となく人の心を和ませる。こどもの日のきょう、子供の健やかな成長を願い、また健やかに成長してこられたことに感謝して、家族団欒でお祝いをする家庭も少なくあるまい。そんなほほ笑ましい光景が目に浮かぶようだ。その一方、親の子殺し、子の親殺しという事件が、新聞の社会面からなかなかなくならない。先の敗戦によって、焦土と化した日本は、エコノミックアニマルと椰楡されながらも、わずかな間に世界第2位の経済大国として再生した。 しかし、戦前の軍国主義を忌むあまり、修身という観念を置き去りにしてきた。物質的な豊かさは手に入れたが、精神的豊かさはとてもそれに及ばない。道徳は乱れて、自分本位が幅を利かす。いま、教育の現場で小1プロブレムという現象が全国のあちこちで生じている。先生の話を聞けない、勝手におしゃべりをする、授業中に教室内を緋掴し、教室外へ出て行ってしまう児童もいる。 しつけることよりも、子供の自己活動を重視し、幼児の主体的活動を促す、保育所保育指針や幼稚園教育要領の個性の重視に問題点があったとの疑念なしとしない。同時に、家庭でのしつけがなおざりにされてきたツケであることは間違いない。子供の健やかな成長とは、当然ながら身体面と精神面の両面でなくてはならない。道徳の教育といっても難しいことではない。二宮尊徳は刃物のやり取りをするのに、刃先の方を自分に向け、柄の方を相手に向けて差し出すことが道徳の基本だと教えている。 小1プロブレム解消のために、幼保小一貫教育が東京都品川区などで模索されているが、どういう子供に育つかは、親が日常生活の立ち居振る舞いにどれだけお手本を示せるかにかかっている。してよいこと悪いことの分別、寛容、謙譲、側隠の情、規律を守る習慣など、自ら恒常酌に学んで"親業"のプロを目指してほしい。幼児や小学校低学年のうちは脳に柔軟性があって、知識や情操、徳性についてさえ恐るべき吸収力を持っている。自ら学び積み上げた親らしさを十分に発揮して、子供が心身ともに健やかに育つように、愛情を持って子育てに心を砕いてほしい。よい親がよい子をつくるのである。 |