日本の武力的脅威(平成17年1月15日) 顧問 山口定徳
九・一一のテロが発生した時ブッシュ大統領は、之は宣戦布告なき戦争だと言った。軍事力の象徴であるペンタゴンの上空は飛行禁止区域であり、軍事衛星とレーダーで護りどんな飛行物も入れなくなっている由。その上経済の象徴である世界貿易センタービル、その中に民間機が突入したのだから米国民の受けた衝撃は想像を絶するものがあったろう。反米テロは頻発して居り米国は一掃し更に米単独覇権完成の為努力中である。全世界が反対しているにも拘わらず、全米ミサイル防衛システムの構築、中東和平の逡巡、京都議定書の拒否等単独覇権確立の為布石の一環として、テロを黙認したとの見方もあり、真相は相当期間を経て外交文書が公開されるまで分からないだろう。ブッシュにとっては戦争の手がかりを得た訳である。テロ撃滅の為アフガニスタン、更にイラク攻撃に踏み込む訳であるが、一方テロと見られるアルカイダは、日本を含む世界六十カ国に二万人のゲリラを放ったと謂われる。世界は緊張緩和か激化か何れに向かうかを探って見よう。日本周辺の軍事力はどの位か推測して見よう。
中国は広大な土地と人口を有し、弾道ミサイルで固めている。大陸間弾道弾を含め五九〇基で、その中で中距離弾道ミサイル一〇〇基以上は日本全土が射程内に納まっていると謂われている。四五〇基の弾道ミサイルは台湾正面に配備、新型ミサイルは増強中と言う。 陸上戦斗は七個軍区六三帥で兵力一七〇万人。 海上戦力は七四〇隻の艦隊を整備し、ミサイル駆逐艦を有し、静粛性向上型潜水艦に改良している由。 航空機は二七〇〇機で作戦機を配備済みと謂う。 之等機能を活用して、日本近海の海洋調査等活発な活動によりガス資源等の開発に乗り出している。 中台関係は台湾独立阻止の為武力攻撃も辞せずとの姿勢を明らかにし、大陸沿岸から九〇〇`bの制海制空権確保を目標にしている。九〇〇`は沖縄列島が入る範囲で、中国はアジア、太平洋地域に強固な覇権確立を目標にしている訳である。之は日本の海上ルートを遮断される虞がある。
北朝鮮は多くの日本人を拉致し、殆どと言って良い位未解決である。密輸等の為近海侵入も後を絶たない。一九九六年九月北朝鮮は二六名の特殊部隊を韓国へ侵入させた。之を掃討する韓国は陸軍六万人と五十日を要している。北朝鮮は特殊部隊を編成し訓練を積んでいる訳である。 この様に日本の周辺には全世界の兵力の三一%が集中していると謂われ、人口は全世界の二四%に過ぎない。中国は核兵器を有し、北朝鮮は疑惑があり、韓国も嘗て研究段階にあったと報ぜられている。そうなると日本も使用済み核燃料再処理結果として、国の内外で保有するプルトニウムは三八トンに達し、之を核兵器に換算すると四八〇〇発分に相当するとの意見も出る始末である。日本が核兵器を持つ意志がない事は明白であるが、日本は核を含む軍備の中に、必ずしも友交ではない国に取り囲まれていると言っても過言でない。
自虐史観からの脱却
この様な極東に於ける軍備拡張の中に在って、我国の憲法改訂が国民輿論として形済として起こりつつあるのではないか。憲法前文に於て「恒久平和を念願し、諸国民の公正と信義を信頼する」としても、日本周辺の環境は平和が念願できるのか、公正と信義に疑念なしとは言い難い。憲法の改訂は防衛に関し最小限の整備を説く必要がある。発布から五十八年、サンフランシスコ平和条約からも半世紀以上経過しているのだから、国際情勢の変化に対応する要があろう。
中国韓国は過去に日本に対し「過去の歴史反省」を求めてきた。細川、村山政権が迎合する形で謝罪外交を展開した。戦前戦中の日本の総てを否定する自虐史観に落ちた外交を展開した。宮沢喜一、河野洋平氏も夫々官房長官だった頃従軍慰安婦の強制連行、教科書問題で夫々中国や韓国の言動に対し反論どころか、物証なしに鞠粥如として認めた害は多いと謂はねばならない。単なる政治家よりも重要な役職に就いているが故に、先方に迎合した発言が多くの禍根を残していると謂わざるを得ない。 チャーチルの言葉に「最も厄介なのは有能な敵ではなく、馬鹿で働き者の味方である」と言うのがあるが、将にそれ等の害が今日教科書問題、慰安婦訴訟、拉致問題等に大きな暗い影を落としているのである。
韓国の前大統領金大中氏は北朝鮮寄りの政策で汚名を残された様であるが、現大統領慮武弦氏はそれ以上北寄りの大統領であろう。金大中政権以前の体制を壊す事をアンシヤンレジームと呼ぶそうであるが、その政策が進行中である。首都をソウルから南へ移転する事は最高裁の判断で却下されたが、どう言う判断で提案されたのであろうか。朝鮮戦争の折ソウルは北朝鮮に奪取され、次に返す事は朝鮮戦争の山であって、ソウルの奪取如何が勝敗を決した観があった。何時の時代でも「戦いを好まば国亡び、忘れなば国危ない」のである。
我等の覚悟と努力
大東亜戦争は昭和十六年十二月八日勃発したが、日本は大使を派遣して交渉ん重ねていた。十一月二十六所詮ハルノートなる十ケ条の平和解決要綱を日本に突きつけた。米国は日本が呑めないと知って突きつけたものである。戦後アメリカの外交文書の公表で判明したが、之はハリー・ホワイトと言う共産党員が、スターリンの命を受けて日本を戦争させる為書いたものを、日本嫌いのルーズベルト大統領がハル国務長官経由渡したものと判明した。ハリー・ホワイトは有能の故に財務省に勤務し、財務長官を通じてルーズベルに渡した。ハル長官は財務長官が頭ごし工作に不快感を示したが、大統領の命であるのでそのまま日本に渡したとされている。
ハリー・ホワイトは戦後共産党員である事が暴露し、捕らえられ不慮の死をとげる。ソ連の暴略は世界に大きな禍を斎した。有効期間中の日ソ中立条約を一方的に破り、北方四島を戦後不当に占領、六〇万の日本兵をシベリヤに抑留し内六万人を餓死凍死させ、日本のみならず多くの人に災をもたらしたものである。 昭和二十六年五月マッカーサーは上院外交委員に於て、先の戦争で日本が戦争に突入したのはセキュリティ (生存の為)と証言した。内容は「日本は絹の外生産するものはない。綿・羊毛・石油・錫・ゴムの外多くの原料がなく、之を断つと千万から千二百万の失業者を出すことを恐れた」之は当時ニューヨークタイムスにも掲載された由である。
先の大戦で日本はホロコースト(大虐殺)された。東京大空襲では市民十万人が死亡し、原爆でも市民の死亡が八割から九割に達した。今後はテロにせよ戦斗にせよ一般市民の被害は大きくなる。 若し韓国が北朝鮮寄りの国になると、それ等の国と対馬は海を隔て、六十`、壱岐は一五〇`の国境の島である。日本列島が地震と災害の上に生きている様に、我々はその上に防衛の第一線に生きている覚悟と努力が必要となるのではないかと思うのである。(16.11.29)
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