壱岐国ルネッサンス集大成
「日韓共同、壬申・倭乱文永・慶長の役 犠牲者 慰霊・鎮魂 地球平和祈願を終えて」

 
 戦後半世紀を過ぎ、日本は世界第二位の経済大国に成長して、国民は物質的繁栄を謳歌している。しかし、世は、政治家、経済人、公務員、聖職者などのモラルの低下、などによる人間の心の荒廃の影響下で世代を受けつぐ子どもたちの大人への不信感、世界に広がる拝金思想、欲望のままに行動することを煽る、コマーシャリズムの影響は強大で自由と民主主義を標榜する自由世界は危機に瀕している。加えて、人類は宗教戦争の恐ろしさを知りながら、その歴史に学ばず、ますます、拡大する21世紀の様相を呈している。

 
全国一ノ宮巡拝会はこの心の荒廃を取り戻すために、明治以前の日本人の大自然への畏敬の念を原点とした八百万の神々が寛容な心で取り込んだ仏教の姿に思いを致し、一ノ宮巡拝会が起こした諸国68カ国100万人巡拝運動が静かに国民の間に種々の形で広がっていることは大変喜ばしいことである。

 平成13年に巡拝会世話人によって起こされた壱岐国ルネッサンスは誰も予想だにしなかった神仏習合による敵味方、犠牲者の慰霊・鎮魂することの重要さがいろいろな形で証明されてきている。その原点は元寇の役の後に、敵味方ともに戦争で犠牲となった御霊を慰霊した北条時宗の円覚寺の建立の故事と発句経「もろもろの怨みは怨み返すことによっては、けっして鎮まらない。もろもろの怨みは怨み返さないことによっと鎮まる。これは永遠の真理である(ダンマバグ五)」に由来する。

 
それは、今日の科学では未だに完全に解明できない目に見えない霊魂の世界に科学者が目を向け始め、合理的思想だけでは解決できない人間のこころの世界に気づき始めたからである。アーノルド・トインビーも”人間の心は、この地上において宗教のみが支配できる領域であって、政治的強制という根棒で意志を踏みにじって、そこへ侵入を強行することほど人心を離反させるものはないからである”。と人間の性を喝破している。

全ては壱岐国から始まった。
 玄界灘に浮ぶ島、漢書にあるという東海の蓬莱島・壱岐。巡拝会員が不思議に思う島。・・・なんで、こんな小さな島に延喜式内社が24箇所(対馬は29箇所)も鎮座するのか、元寇の役の遺跡、激戦地に残る千人塚の意味、なだらかな島、弥生風景を見る島。また、「邪馬台国五文字のなぞ」で一躍有名になった邪馬台国発祥の島壱岐などなど・・・。知識としてもっていても現地をおとずれて実感・直感で得ることのできるものは計り知れないものがあるのではなかろうか。元寇の役の英雄”少弐資時公の霊は壱岐神社に、少弐公園墓地を敬い歴史として大切にされているが全島民の犠牲者とモンゴル兵(中国・韓国軍)の犠牲者の御霊に想いを致す人がどれ程いようか。いや、忘れ去られようとしているのではないか。

 
今回の壱岐国ルネッサンスの意味の大きさがここに在るのである。敵国モンゴル国・ガンダン寺管長猊下の招聘の旅で訪問を即断する猊下、加えて、高野山蓮花院東山泰清大阿闍梨、モンゴル国大使館の参列、特にこの話を幼少からの友人長岡秀星イラストレーターに話すと「僕にやらせてほしい、任せてくれ」という言葉を聞き、ふるさとへの想いが同じであることを知り感激していた。などなど歴史に隠れた御霊の慰霊・鎮魂地球平和祈願が小さな、小さな壱岐から発信され目に見えない力となって、壱岐国ルネッサンスU、Vへと続き、更に、モンゴル国で行われたノモンハン事変における犠牲者の慰霊・鎮魂に繋がり、さらに、今回の韓国奉先寺(大韓仏教曹渓宗総本山)における「韓日(日韓)壬申倭乱、文禄・慶長の役 犠牲者鎮魂地球平和祈願大法会」となったのである。

 去る、平成16年(’04)9月17日に行われた地球平和祈願は昨今の日韓関係の政治的、歴史的、棘を払いのけ、未来へ生きる人々に勇気と希望を与えたのではないかという旅であった。ここに、改めて一ノ宮巡拝会の皆様にお知らせして、先人が神仏集合で人々の心を癒してきたこころをお知らせしたいと思いしたためました。私は壱岐の生まれで18歳まで壱岐に住み、以後ささやかながら、世界を見る機会に恵まれ、ふるさとを遠くから眺めることができる立場にあり、今回一連の壱岐国ルネッサンスの行事は幼少以来、三つ子の魂として刻まれていたこころを見る最も近い隣国韓国への想いは人一倍強いものがあった。

★「地球平和祈願」の足跡
 
9月15日:成田=入江孝一郎(全国一ノ宮巡拝会代表世話人)、入江眞(社団法人日本移動教室協会理事)、梅山裕美(ETS)、釈悟震さん(東邦学院講師)、竹富鉄一(巡拝会員) 5人 関西=高野山蓮花院東山泰清大阿闍梨、関口行弘、江口貴博(3名巡拝会員) 4人 九州=有馬黎子(巡拝会員、壱岐在住) 1人合計10人の旅でした。

 9月15日:ホテルへの途中、1592年、壬申倭乱の戦勝記念公園を訪問して、行事に対する歴史認識を新たにした。 

 
9月16日:入江世話人と釈悟震さんは記者会見、最終調整のために奔走されるなか、他は、市内観光をした。#1919年、朝鮮独立宣言がなされたパゴタ公園⇒#朝鮮王朝時代の宮殿⇒#国立民族博物館⇒#青瓦台(車内から)⇒#ソウルタワー(全市内が一望できる)。夜:希望者は民族舞踊鑑賞(コ−りヤン・ハウス)

 9月17日:ソウル郊外にて「韓日(日韓)壬申倭乱、文禄・慶長の役 犠牲者鎮魂地球平和祈願」が奉先寺にて大法会。⇒李 芳子妃殿下御陵参拝。⇒奉先寺関係者⇔一ノ宮巡拝会関係者との懇親会(???)

〇9月18日:それぞれ帰国の途へ。

 
以上、短い忙しい旅でしたが一ノ宮巡拝会のこころは理解され、将来への希望の第一歩は明らかに踏み込めたと感じました。願わくはこの心が深く浸透するには毎年、同じ場所で、清々と、粛々と、続けることであろうとしみじみ感じた。一ノ宮巡拝の心が今回の壱岐国ルネッサンスの一連の行事がそれぞれに、あちらでも、こちらでも、極々、普通の、自然の心として国境を越え、人々が行き交う姿になることの素晴らしさ、これが、さらに、10月下旬にはアメリカ椿大社を中心にネテイヴ・アメリカンに広がります。これらが、アジアにも心として影響を与え、さらに、最終的には国連に通じてキリスト西洋文明社会(一神教社会)に他宗教を認め合いその心を通じ合うことがいかに大切であるかを認識してもらう機会となることを願って止みません。 一ノ宮巡拝会の最終目的でもあるのです。 おわり

              一ノ宮巡拝会会員  
 (壱岐出身、横須賀在住)