ペルシャの神話「王書」(シャー・ナーメ)より 黒柳恒男(泰流社)¥2400 まえがき 古来ペルシアの名で知られてきたイランは二千五百有余年の古い歴史と輝かしい文化、伝統を持つ国で、古い国にふさわしい伝承、神話を有し、それは今日までイラソ民族に最大の文化遺産の一つとして保持されてきた。'イラン・ベルシア神話の祖型が共通していることは周知の通りであるとはいえ、それぞれの展開過程においてかなり異なった形で成立した。 ペルシアの神話は元来、イスラーム期以前のペルシアの国教ゾロアスター教神話、伝承に基づくものであるが、今日一般のイラン人が自国の神話としているものは、必ずしもゾロラスター教聖典『アヴエスター』や中世ペルシア語で書かれた諸文献に記されていることそのままの形ではなく、今から約千年前、十一世紀当初にペルシア文学史上最大の民族詩人と仰がれているアプール・力ースィム・フィルドウスィー(フエルドウスィー)がそれまでに伝わる神話・伝承・歴史を集大成し、さらに取捨選択して完成させた約六万句に及ぷ大叙事詩『王書』(シャー・ナーメ)に含まれている神話・伝承の部分が神話として受け継がれているのである。 それ故、筆者も『ペルシアの神話』と題する本書において、ゾロアスター教神話・伝承そのままではなく、『王書』における神話王朝ピーシュダード(ピーシュダーディー)朝に関する部分をす・・・・・・・。 ホスローとシーリーン ニザーミー 岡田恵美子訳 |
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