つづき・・・む連合国側が同意した、〃領土不拡大の原則"にも違反する。にもかかわらず、過去にも、例えば、ソ連のブレジネフ書記長などは「第二次世界大戦の結果は変更すべからず」と主張し、北方四島が日ソ交渉の対象であることを認めようとしなかった。
大統領2期目に入るころから、プーチン氏(現首相)は自信をつけて独り歩きし始めた。まず、外相をイワノフ氏から自らに忠実なセルゲイ・ラブロフ氏に代えた。次いで国境線画定法に関するロシアの立場を変更した。ゴルバチョフ、エリツィンの両氏が採用した第一の方法を否定、第二の考え方に依拠する立場を明らかにし、2005年秋にこう述ぺた。
「(北方四島は)現在、ロシア連邦の主権下にあり、これは第二次世界大戦の結果である」
☆19世紀的考え認めてはならぬ
メドベージェラ大統領は就任当初こそ、「リベラル」な指導者と騒がれたものの、少なくとも現時点におけるその対日政策はプーチン首相のそれと全く変わらない。メドベージェフ大統領が昨年9月に、北京で調印した中露共同声明は、「第二次世界大戦の結果を見直すことは許されない」と記しているし、同大統領は同年12月のテレビ対談で、「南クリール列島のすべての島はロシアの領土である」と明言している。
以上のことから明らかになるのは、タンデム政権の2人の指導者が、第二の国境線画定法を採用していることである。それは、戦争結果を重視する「19世紀的」かつ危険な考えである。"領土不拡大の原則"に基づく第一の方法こそが、20〜21世紀の正しいアプローチである。
戦後日本人が第一の方法で領土返還運動を行っていることは、単に北方四島の価値を超えて、普遍的な意味合いをもつ。そのような意義を担う返還運動をもし万一、われわれが断念し安易な妥協に同意するならば、どうであろう。世界の心ある人々は日本に対する尊敬を一挙に失って、「日本人"エコノミック・アニマル」説に回帰するに違いない。(きむらひろし)2011.2.7
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