共産主義崩壊の予言 (歴史の研究第15巻、P-63) |
世界教会と文明との関係についてのさまざまな見方
・・・・世界を二分する二つの政治圏の一つを今やカで支配する共産主義は世界の支配か没落かという最高の賭けをしているように見える。しかし、本質的にはその前途は変わっていない。というのは、ロシア帝国をカをもって奪い、且つ維持するという輝かしい政治的・軍事的成功の結果として共産主義運動が陥ったソヴィエト連邦への妥協的隷属は、第二次世界大戦の結果によって確証され強化されたからである。この事態は、共産主義の歴史に於けるもう一つの政治的・軍事的成功であった一九四八ー九年に於ける中国の奪取にょっても、本質的には変わらないのである。
というのは、このことは共産主義をもう一つの大国に縛りつけ、それによって、共産主義に中国とロシアの政治的利害の一時的一致のイデオロギー的表現として奉仕する役割を与えたにすぎないからである。
ソ連が西欧化しつつある世界にその世界国家を提供する運命にあるとするならば、疑いもなく共産主義は、その際、世界に存続する唯一の大国になっている国家と結んだことに対して、報酬を受けるに違いない。
その時には、ソ連の国教である「イデオロギー」は、公式の信仰として世界に押しつけられるだろう。しかし、ソ連の世界制覇の見込みがどうであろうと、歴史の先例に照らして、たとえ共産主義が報酬を得るとしても、それは死海の果実であることは自信をもって予言することができる。
というのは、
人間の心は、この地上において宗教のみが支配できる領域であって、政治的強制という根棒で意志を踏みにじって、そこへ侵入を強行することほど人心を離反させるものはないからである。
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これで、存続する文明によって生み出され、政治に足を踏み入れてカに訴えることによって精神的前途を危うくしたように一九五二年に見えた新しい宗教についての物語を終わる。(P63)
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