情報源:産経新聞H24.9.11
監視
態勢でも出遅れ 「日中の外交当局で緊密な意思疎通を行ってきた」藤村修官房長官は11日の記者会見で、尖閣国有化が日中関係に与える影響を抑えるよう両国で調整してきたと強調した。 先月28日に山口壮外務副大臣を北京に送り、国有化方針を説明したことなどを指すが、それも水泡に帰し、日本側では混乱をきたした。 温家宝首相が10日、「主権と領土の問題で絶対に半歩も譲らない」と講演で異例の対日批判を展開。動揺した外務省内では尖閣の購入費支出に関する閣議決定について「11日は延期すべきだ」との声が上がった。 ただ、配慮を重ねても中国側の理解を得るのは至難の業。「延期はかえって誤ったメッセージを出すことにもなる」(首相官邸筋)との主張が勝り、予定どおり閣議決定した。 腰の定まらない日本政府とは対照的に、中国側は周到に対抗措置を繰り出してくる公算が大きい。先兵は海洋調査船「海監」とみられる。一昨年9月の漁船衝突事件と先月の尖閣への不法上陸の直後、海監が尖閣に接近しているからだ。 海監は国家海洋局が指揮する海監総隊の所属で、領海や排他的経済水域などでの権益確保が任務。大型船艇の建造が進み、2011〜15年には36隻を新たに配備するという。 政府高官は「漁船を伴い『漁政』も投入してくる恐れがある」と指摘する。漁政は農業省漁業局所属の漁業監視船で、南シナ海を中心に活動していたが、尖閣周辺のパトロールを強化する方針を打ち出している。 海監や漁政などの公船は総数で日本側の3倍超。大型船艇も海保の保有数に近づいている。国家海洋局は人工衛星や航空機、地上からの観測データに基づき尖閣周辺などの海域を監視するシステムも導入した。 日本側では、防衛省が来年度予算案の概算要求で滞空型無人機の調査や研究に関する経費を計上したばかりで、「常時監視」態勢でも出遅れは否めない。 |