衝突映像   北の工作員  日本をコントロールする



秘密保護法の誤解解き日本の正当性アピール

尖閣漁船衝突の映像公開

中国人船長に損賠提訴


政府は12日、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で平成22年9月に発生した中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事件の映像を一般公開した。政府は同日、巡視船に体当たりした当時の中国漁船の・其雄(せんきゆう)船長(44)に対し、修理費など
約1429万円の支払いを求める損害賠償訴訟を那覇地裁に起こした。裁判所で誰でも映像を閲覧することが可能となるため、海保も一般の求めに応じ映像を提供する。

当時海保は船長を逮捕し、映像を那覇地検に証拠として提出。その後、国会の求めに応じて映像の一部を提出したが、一般には非公開としてきた。逮捕された船長は事件後、処分保留のまま釈放されたが、第11管区海上保安本部は23年2月、船長に損害賠償を請求。
再三の督促に応じず、今月20日に請求権が時効消滅するため、那覇地裁への提訴を決めた。

中国漁船衝突事件から3年半近く、政府はようやく事件の映像公開に踏み切った。安倍晋三首相の強い意向を反映したもので、特定秘密保護法で恐意的に情報が隠蔽されるとの「誤解」を解き、民主党政権との違いを行動で示した形となった。

同時に、中国が世界中で
大々的に展開する反日宣伝に屈しないという日本政府の立場を鮮明にする狙いもあった。菅義偉(よしひで)官房長官は12日の記者会見で「政府の主張の正しさを立証するため映像記録を提出する」と述べ、公明の意義を強調した。

公開には首相の強い思い入れがあった。首相は昨年12月9日の記者会見で「菅直人政権が隠した衝突事件の映像は『特定秘密』には当たらない」と訴え、「日本の立場の正しさを示す」「政権に都合の良い情報の隠蔽は起こらないと断言し
てもいい」と語っていた。

同様の映像は平成22年11月、元海上保安官の一色正春氏が動画サイトに流し
た。現在も閲覧可能で、今回新たな映像が公開されたわけではない。だが、情報に対する政府としての姿勢を示す意味合いがあった。

当時の仙谷由人官房長官は映像流出を
「犯罪行為」と指弾した一方、民主党は
昨秋の臨時国会で成立した
特定秘密保護法を「政府が多くの情報を特定秘密に指定し、永遠に国民に明らかにしないようにする法律だ」(大島敦政調会長代行)と厳しく批判した。

映像を隠蔽し、国益を損ねたのは誰なのか。自民党政権は何でもかんでも特定秘密にはしないー。首相主導で政府は公開のあり方を検討した結果、民事訴訟に伴う一般公開という「奇手」を駆使した。一方、一般公開は
中国の不法行為を発信する狙いもある。

中国外務省の華春螢(かしゅんえい)副報道局長はさっそく12日の記者会見で「われわれもこの事件について日本に謝罪と賠償を求める」と述べた。具体的な措置には言及しなかったが、中国は衝突事件後も尖閣付近への公船の領海侵入を繰り返す。映像公開は、こうした不当な行為に屈しない安倍政権の姿勢を示す一例ともなった。
(山本雄史:産経新聞H26.2.13)