中国   四の五の言う権利ない

              メディア「日本が尖閣防衛強化」


 【北京=川越一】中国外務省の姜癒報道官は17日、日本政府が中国の軍事力を懸念事項とする新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)を決定したことについて、「個別の国家が国際社会の代表を気取って、無責任に中国の発展に対して四の五の言う権利はない」などと批判する談話を発表した。

 姜報道官は「中国は平和的発展の道を歩み続け、防御的な国防政策を実施している。誰の脅威にもなるつもりはない」として、中国脅威論の再燃を牽制した。

 国営新華社通信など国営メディアも同日、日本の新防衛大綱について「日本の防衛戦略が中国の軍事力を憂慮する方向に転じた」などとトップ級で報道。共産党機関紙、人民日報(電子版)は、日本による尖閣諸島(中国名・釣魚島)の防衛強化との見方を伝えた。

 また、新華社は、日本が冷戦時代の装備を減らし、南西海域に重点をシフトしたと分析。日本が米国、韓国、オーストラリア、インドとの協力関係を強化することにも着目しており、南沙(英語名スプラトリi)、西沙(同パラセル)諸島の実効支配を進める中国への"包囲網"として、中国政府が受け止めていることをうかがわせた。

          自民党は

        防衛大綱で自民「安全確保できず」

自民党が、政府の新たな防衛計画大綱と来年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)について、「日本の安全を確保できるとは到底思えない」とする見解を取りまとめたことが17日、わかった。大綱、中期防ともに「政権奪回後、即時に見直す」と強調している。

見解では、日本周辺の安全保障環境について「中国をはじめ各国が防衛費を増額する現状だ」と指摘し、「依然、不安定な状況にある」と分析。「防衛予算の縮減傾向に歯止めをかけ、多様化する任務に対応する人員を確保しなければならない」と訴えている。

さらに、政府による陸上自衛隊の定員と戦車、火砲の削減方針などを批判。武器輸出三原則の見直しは「(政府は)社民党に配慮してトーンダウンした。防衛力の生産・技術・教育等の維持すらも困難となる」と警告した。




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産経新聞:平成22年(2010年)12月18日 土曜日・・・ 日本版NSCを評価する

    新防衛大綱

 民主党政権下で初の防衛力整備の基本方針となる「防衛計画の大綱」と、来年度から5年間の「中期防衛力整備計画」が閣議決定された。改定作業の過程で起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件は★急速な軍事力増強を背景として中国が力ずくで日本の領土主権を認めない姿勢を鮮明にした。

 中国への懸念を打ち出し、沖縄県・南西諸島に沿岸監視隊を置くなど島嶼(と一つしょ)防衛を明確に位置付けたのは当然だ。「日本版NSC(国家安全保障会議)」を念頭に、首相への助言を行う組織の設置を明記した点も評価できる。自民党政権でもできなかった、防衛省からの首相秘書官も登用した。

 間題は、国内各方面に自衛隊を均等に配備する「基盤的防衛力」に代えて導入する「動的防衛力」という概念を、真に国民の平和と安全を守れる防衛力にどう結び付けていくかである。

 民主党政権は改定を1年遅らせて検討した。鳩山由紀夫前首相が諮問した有識者会議「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更などを報告書で求めていたが、一顧だにされなかった。

 動的防衛力は日常的な情報収集や警戒監視の活動を強化し、突発的な事態に迅速に対応するものとされるが何を意味するのかよくわからない。テロなどの脅威に対抗するため、新大綱も同盟国との協力を重視している。それには集団的自衛権の行使が欠かせない。

 当初、検討されていた武器輸出三原則の見直しの明記も見送られた。航空機の国際共同開発に参加できなければ、日本の空の守りに"穴"があく実害が生じる。今後も見直しを検討するというが、国会対策上の社民党への配慮が国家の安全に優先し、現実の防衛政策に悪影響を与えたのは問題だ。

 陸上自衛隊の定員は千人減の15万4千人、中期防の総額は23兆4900億円でそれぞれ微減にとどまった。戦車が約600両から200両削減され、海上自衛隊の潜水艦は16隻から22隻態勢に増強するなどシフトが行われる。

 輸送機や哨戒機の増強も必要だが、耐用年数の延長でやり繰りしているものも多い。監視活動の強化で飛行回数を増やすにも燃料費がかさむ。必要な装備や予算は確保すべきだ。

<情報源:産経新聞主張:2010.12.18〉